バージョンと配布
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/26 01:13 UTC 版)
「Altair BASIC」の記事における「バージョンと配布」の解説
ロバーツはインタプリタの配布に同意した。また、ゲイツとアレンをMITS社で雇ってメンテナンスと改良を行った。8K BASIC、Extended BASIC、Extended ROM BASIC、Disk BASICなどのアップグレード版が追加されると、オリジナルのバージョンは4K BASICと呼ばれるようになった。 最小のバージョンである4K BASICは4キロバイトのRAMを持つマシンで動作し、プログラムコードエリアには約790バイトの空きしかなかった。このような小さなメモリ空間に収めるために、4Kバージョンには文字列操作やいくつかの一般的な数学関数が入っていなかった。8K BASICバージョンでは、文字列変数とその操作関数、乱数のためのRNDなどの数学関数、ブール演算子、PEEKとPOKEなどが追加された。8Kバージョンは、ホビーパソコン時代のBASICのほとんどのバージョンの基礎となっている。Extended BASICではPRINT USINGや基本的なディスクコマンドが追加され、Disk BASICではさらにディスクコマンドが拡張され、raw I/O機能が可能になった。 1975年10月、4K BASICは150ドル、8K BASICは200ドル、Extended BASICは350ドルで販売された。8KのAltairメモリとAltair IOボードを購入すると、それぞれ60ドル、75ドル、150ドルに値引きされた。配布形式は紙テープまたはカセットテープだった。 彼らの予想通り、Altairはホームブリュー・コンピュータ・クラブなどのホビイストの間で非常に人気となった。また、MITSが選択したBASICインタプリタであるAltair BASICも人気となった。しかし、ホビイリストたちは、誰かが入手したAltair BASICを仲間でコピーして使っており、それが悪いことであるとは思っていなかった。ホームブリュー・コンピュータ・クラブのダン・ソコルは、何らかの手段で入手した販売前のテープから25個のコピーを作り、それをクラブの会合で配布して、受け取った人に更にコピーを作るように促していた。ゲイツは、1976年にホームブリュー・コンピュータ・クラブの会報に『ホビイストたちへの公開状』という文章を寄稿し、この中で、ソフトウェアをコピーする行為は窃盗だとして非難し、人々がお金を払わないソフトウェアの開発の継続はできないと宣言した。多くのホビイストはこの書簡に防御的な反応を示した。 ゲイツ、アレンによるマイクロソフトとMITSとの間の契約条件では、一定額のロイヤルティーを支払った後で、MITSはインタプリタの権利を受け取ることになっていた。しかし、マイクロソフトはMC6800など他のシステム向けにもインタプリタを開発していた。そのため、彼らがMITSからの離脱を決めた際に、ロイヤルティーの全額が支払われたかどうか、他のバージョンにも契約が適用されるかどうかを巡って争いになった。マイクロソフトとMITSは仲裁人に紛争の仲裁を依頼した。仲裁人は、MITSは「最善の努力」でソフトウェアを販売していなかったとして、マイクロソフトに有利な裁決を下した。 BASICインタプリタは、1980年代初頭にMS-DOSに移行するまで、マイクロソフトのビジネスの中核を担っていた。
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