ニュートンの近代的宇宙観
木から落ちたリンゴを見て万有引力を発見
ガリレオがその生涯(しょうがい)を閉じた1642年、イギリスの小さな農村にアイザック・ニュートン(1642~1727年)が生まれました。「リンゴが木から落ちるのを見て万有引力(ばんゆういんりょく)を発見した」あのニュートンです。ニュートンの目の前で、本当にリンゴが落ちたかどうかはわかりませんが、リンゴにも、天に浮かぶ月にも太陽にも、あらゆるものに同じ力――引力がはたらいているという発見は、まさに画期的なできごとでした。ニュートンはこうした考え方をもとに研究を重ね、1687年、45歳のときに「自然哲学と数学的原理」――通称『プリンキピア』と呼ばれることになる著書を発表しました。
あらゆる物体が動くしくみを解明した『プリンキピア』
『プリンキピア』は、私たちの住む自然界=宇宙にはたらく力や物体の運動に関する法則などを説明したものです。ニュートンは、古代ギリシャ以来の長い研究の歴史のすえに、天体をもふくむあらゆる物体が、なぜ動くか、どのように動くかを、はじめて原理として示すことに成功したのです。『プリンキピア』には、万有引力の存在とともに「運動の三法則」をはじめとするさまざまな定理・公理が述べられ、その力学にのっとった新しい宇宙体系があらわされています。ここに20世紀に受けつがれる近代的な宇宙観が成立したのです。
物理学発達の基礎となる「運動の三法則」
ニュートンが示した運動の三法則は、以下の3項目から成り立っています。(1)慣性の法則(外部からの力の作用を受けないかぎり、物体は静止したままか、同じ運動=等速直線運動を続ける)、(2)作用・反作用の法則、(3)加速度の法則。これらニュートンの業績は、その後の物理学の発達の基盤となります。20世紀になってアインシュタインが「相対性理論」でニュートン力学の欠点をおぎない、いまや「古典的物理学」と呼ばれるようになりましたが、私たちの身の回り――つまり地球上のできごとに関しては、完全に適用されています。
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