ドイツの経済秩序を示す名称
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/01 03:19 UTC 版)
「社会的市場経済」の記事における「ドイツの経済秩序を示す名称」の解説
1950年代から、「社会的市場経済」の概念は、ドイツの実際の経済秩序を示す名称としても定着した。ただし経済政策は、その時々の政権の政治目標によって変わっている。 社会的市場経済は、1948年から経済システムの根本的な特徴を変えることなく発展したと多くの著者は見ている。しかし実際の経済秩序は、1957年あるいは1960年代以降にはもはやルートヴィヒ・エアハルトの構想には対応しておらず、不適切なものになっていたとする見解もある。 ミヒャエル・シュパンゲンベルガー(ドイツ語版)によると、「社会的市場経済の内容は『ライン型資本主義』の概念で国際化する」ことができる。フランス、ベルギー、オランダ、スイスなどのライン川近隣諸国(ドイツ語版)、北欧諸国、そして日本で発生した「コーポラティズム」や「調整型」市場経済は、アングロサクソン系の経済秩序とは異なっているとして、1991年にミッシェル・アルベール(ドイツ語版)は、「ライン型資本主義」という概念を導入し、社会的市場経済もこのライン型資本主義に分類されるものであると主張した。ゲルハルト・ヴィルケは、社会的市場経済もライン資本主義も、中程度の規制が行われる傾向のある資本主義モデルであるという点で共通しているとした。彼によれば、それとは別に、自由な市場経済であまり規制を行わない資本主義モデルと、極めて強く規制・統制を行う経済がある。そして社会的市場経済のモデルは、この点で最も高い効率性、豊かさ、生活クオリティをもつと結論づけた。ヘルベルト・ギーアシュ(ドイツ語版)は、社会的市場経済あるいはライン型資本主義は「コミュニタリアニズムの気配」がすると陰口をたたき、コンラート・アデナウアーやヘルマン・ヨーゼフ・アプス(ドイツ語版)の人間性はそれを象徴しているとした。これとは対照的に彼はエアハルトやオイケン、ハイエクを「純粋資本主義」あるいは「新自由主義市場経済」と同一視した。マンフレート・G・シュミット(ドイツ語版)も、ドイツの経済秩序には市場経済からはかけ離れた傾向があるとした。特に国家の歳出割合は中間程度、経済規制の度合いも中間程度であり、本来の社会的市場経済の理想からは遠ざかっている。かなりの識者たちが、「社会的市場経済」の名称に充分には満足していないし、ドイツの経済秩序を表す概念としては「組織的」資本主義、「ドイツ型」資本主義、「ライン型資本主義」のほうが好まれることになっている。
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