デルタ線の利用例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 02:26 UTC 版)
日本の場合、東海道本線を中心に1950年代ごろまで運行されていた特別急行列車「つばめ」・「はと」は、上下列車とも編成の最後尾に展望車を配する必要や、また三等車スハ44形の2人がけ座席が一方向き固定式であることから、東京・品川、大阪の双方において、全編成を方向転換させるという方法を採った。このような方向転換方法は三角線回し(さんかくせんまわし)と呼ばれている。また、蒸気機関車 (SL) も車両の進行方向によって前後が決まっているため、進行したい方向によって、車両全体の向きを転換する必要がある。通常は転車台が用いられる。しかし、転車台を設置せずにデルタ線を使用して、方向転換することもあった。敷地が確保できる場合、転車台よりデルタ線の方がコスト的に安いためか、軽便鉄道等に多く見られた(曲率の制限の関係もある)。数は少ないが、日本国有鉄道(国鉄)にもSLの方向転換を目的としたデルタ線が北海道や樺太にかつて存在していた。日本国内では路線の分岐の数に比してデルタ線の数は多くない。一方で世界のほとんどの国では路線の分岐する所はデルタ線が設けられているところが多く、日本が手がけた韓国の鉄道においても多くのデルタ線が敷設されている。 このような編成の方向転換については、電車列車の場合でもまれに行われることがあり、京浜東北線に投入されているE233系を試運転後、浦和電車区に搬入する際に山手貨物線 - 大崎駅 - 品川駅 - 東京経由としたため、京浜東北線では向きが逆になってしまうことから事前に武蔵野線を利用して方向転換が行われた。また、1997年(平成9年)に上野駅停車時の電源車の騒音源を上り側に離すため「北斗星」・「あけぼの」等の向きを逆転させるために、同じく武蔵野線および青森駅構内を利用して全ての使用編成の方向転換を行ったことがある。大手私鉄では近鉄が奈良線系統の車両を大阪線系統や名古屋線系統に異動する際に車両編成の向きを合わせるため(奈良線系統と大阪線・名古屋線系統の車両では編成中でパンタグラフの付いている位置関係が逆になっているため)や一部特急車での編成の向きを変えるために伊勢中川駅の短絡線と駅構内で方向転換を行う場合がある。 デルタ線の例 京葉線二俣新町駅付近模式図
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