ディオニュシオスは優れた戦略家か臆病者か
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/23 06:15 UTC 版)
「カマリナ略奪」の記事における「ディオニュシオスは優れた戦略家か臆病者か」の解説
戦闘を行わずに2つの都市を放棄したことは、たとえそれが正しい軍事的推論に基づき、また政治的に正しい判断であったとしても、野心的な戦争指導者であるディオニュシオスの評判には有害であった。カルタゴ軍自体ではなく、その恐怖に追われ、ゲラとカマリアの難民達はシュラクサイを目指した。その途中での女性、老人、子供達の苦しみは、彼らを護衛する兵士の士気に影響を与え、ディオニュシオスの動機に関する噂が広がり始めた。すなわち、ディオニシュウスはカルタゴと結託しているのではないかと疑われた。何故ならば、 ディオニュシオスは容易に防衛できる2つの都市を、軍事的に切実な理由無く放棄した。陸軍はほぼ無傷であり戦う準備ができていた。海軍は制海権を確保しており、ゲラにもカマリナにも補給不足は生じていなかった。 カルタゴ軍の攻撃を受けてからのディオニュシオスのゲラ到着は遅かった。彼にもっとも忠実な傭兵部隊は戦闘に参加せず、野営地攻撃を行った他の部隊が損害を受けたのに対して全く損害を受けていない。 カルタゴ軍は、本来そうすべきであったにも関わらず、難民の列を追わなかった。このためギリシア側は撤退に成功したが、これはディオニュシオスがカルタゴと取引をしたためかもしれない。 ディオニュシオスがカルタゴと秘密協定を結んだと確信した人々は、カルタゴの恐怖と傭兵を手先として使っていることを理由として、シュラクサイの政治をディオニュシオスから取り戻そうとした。より多くの市民の間にこの噂が広がると、多くの人々は必要であればいかなる手段を用いても、ディオニュシオスを排除すべきと考えるようになった。
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