ディオニュシオスの二枚舌
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/23 06:14 UTC 版)
「シュラクサイ包囲戦 (紀元前397年)」の記事における「ディオニュシオスの二枚舌」の解説
ディオニュシオスには弱体化したカルタゴ軍を殲滅できる可能性もあったが、同時に交渉の準備もできていた。僭主であり続けるためには、カルタゴの脅威をもって市民を支配する必要があったためである。西洋世界を救うことなどどうでも良かった。ディオニュシオスはヒミルコの提案に応えたが、単純にカルタゴ軍が撤退することは認めなかった。何回かの交渉の後、以下の内容が合意された。 カルタゴはディオニュシオスに対して直ちに300タレントを支払う。 ヒミルコはカルタゴ市民を率いて夜間に撤退することを妨害されない。ただし、昼間の移動の安全性は保障しない。 カルタゴ軍は4日後に撤退する。 ヒミルコは秘密裏にディオニュシオスに300タレントを送った。ディオニュシオスは取引の一部として陸軍をシュラクサイに撤退させた。約束の夜、ヒミルコは40隻の船にカルタゴ市民を乗せて出帆した。この艦隊が湾口を出たときに、コリントス兵がこれを視認しディオニュシオスに報告した。ディオニュシオスは彼の艦隊に出撃を準備させたが、ヒミルコに脱出の時間を与えるために、士官の招集を遅らせた。カルタゴ兵もこの密約を知らず、船に乗員を乗せて出帆し、多くがアフリカへの帰還に成功した。 ディオニュシオスはヒミルコが出帆した後に陸軍を整列させ、カルタゴ軍野営地に近づいて行った。その時点ですでにシケル人は脱出して自身の故郷に戻っており、残っていたカルタゴ軍兵士はディオニュシオスに降伏した。幾らかの兵は脱出を試みたがギリシア軍に捕らえられた。イベリア人は武装して抵抗を見せたが、彼らはディオニュシオス軍に雇用された。他のカルタゴ軍捕虜は奴隷にされた。
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