ツノ銀とは? わかりやすく解説

ツノ銀

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/21 03:03 UTC 版)

△持駒 なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1  
       
         
           
   
               
   
       
           
       

ツノ銀(ツノぎん)とは、将棋銀将が▲6七と4七(△6三と4三)に並ぶ構えの名称。

代表的なのはツノ銀中飛車で、これは2つの銀が飛車からみてツノのように見えることからこの名前がついたとしており、他の戦法もこのツノ銀中飛車のツノ銀を名称に援用しているようであり、後に雁木囲いでの銀将の配置が▲6七と5七(△5三と4三)ではなく、▲6七と4七(△6三と4三)になってから新型の雁木が「ツノ銀雁木」と呼ばれるようになる[1]

江戸時代から指されており、特に江戸初期の1600年代では、ツノ銀や5七と6七(後手なら5三と4三)に銀を二枚並べる二枚銀の将棋が多くみられる。銀を二枚中央配置することで互いに陣の厚みを確保し、その後駒がぶつかっていくような将棋が主であったことで、銀が左右に分岐する矢倉囲いに対しては、飛車を中央に振って攻撃する方法が主であったほどである。

ツノ銀に構える戦法例

△持駒 なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1  
       
             
       
 
             
       
       
         
         
△持駒 なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1  
     
       
     
           
                 
         
   
             
   
△持駒 なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1  
         
           
       
   
             
   
     
           
           

図1のツノ銀囲いは、二枚銀のトラック囲い(セメント囲い)から右銀が5七でなく4七に置き、「ツノ銀」の形となっている。主に振り飛車に対して居飛車側が利用する[2]

図2の大河戦法は、真部一男が考案し[3]、晩年の升田幸三も愛用していた。自陣の二段目に駒配置をせず飛車を横に自由に振ることができる状態にし、振り飛車に見せかけて相手が舟囲いにすれば、▲3八飛~▲4八玉~▲3九玉の袖飛車にする。これは振り飛車からの袖飛車の変化、つまりいったん他の筋に飛車を振って、3九に構えることを考えると、一手得の意味がある[4]

相居飛車にもでき、相手が早くに△8五歩▲7七角を決めてくれば▲8八飛として反撃する向かい飛車にも対応[4]

図3のSugarシステムは、へなちょこ急戦などを考案した将棋YouTuberのSugarが相居飛車戦で愛用する、王将が中住まいに構える伊藤果考案の風車戦法に似た陣立てで、風車戦法との違いは中央に右金を置き、それを境に玉を主に6八(△4二)もしくは右玉の4八(△6二)に構えることと、風車戦法はツノ銀中飛車に構えてから玉を中央に移動するが、このシステムは最初から5九から6八や4八に移動させる、そして陣を築いたら待機するのではなく、積極的に攻撃に移行する。5七の位置に角を構えるので、例えば、相手が矢倉囲いならば、4七銀と3七桂の構えなので同形矢倉矢倉3七桂-4七銀型と同じ陣であり、▲4五歩△同歩▲同桂や▲4五歩△同歩▲3五歩、といった攻めが援用できるし、相手が図3のような陣なら、1歩あれば▲9五歩△同歩▲9三歩から飛車を9筋に振るといった地下鉄飛車的な攻めも可能にしている。

脚注

  1. ^ 第75期順位戦C級2組、西尾VS脇戦で使われたツノ銀型の雁木の組み方 ライター: 一瀬浩司 更新: 2019年09月20日 日本将棋連盟 将棋コラム
  2. ^ 藤森少年時代の得意戦法「ツノ銀囲い」やってみた 将棋放浪記 藤森哲也
  3. ^ 別名を「女心戦法」とも名づけている。真部はこれを「女心で苦労し抜いた末に出来た」独自戦法としていた
  4. ^ a b 鈴木輝彦「つれづれ随想録」, 『将棋マガジン』1991年12月号

ツノ銀

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将棋用語一覧」の記事における「ツノ銀」の解説

銀が先手場合▲6七と4七(後手なら△4三と6三)に配置した陣形。主に中飛車雁木でこの陣形生じることが多い。

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