チョン (蔑称)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/15 12:43 UTC 版)
チョンとは、
概要
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この言葉の初出は、1870年(明治3年)に出版された『西洋道中膝栗毛』(作:仮名垣魯文)と考えられている[注 1]。
なんだ仮初にも亭主にむかってさっきから人中だと思ッて勘弁すりゃァばかだのちょんだの野呂間だのとモウ此上は堪忍ぶくろの緒が切れた
意味・語源は不詳だが、「ばか」や「のろま」と並置されていることから悪口であろうと推察される。
『西洋道中』の掲出部分[3]の文脈は、遊び惚けて仕事をしない弥次郎兵衛と北八に、妻たちが愛想をつかして喧嘩になる場面であり、「のろま」は弥次郎兵衛の妻おはちのセリフとして出てくるが、「ばか」や「ちょん」に直接つながるセリフはない。
国語辞典は「まともでないこと、頭のわるいこと。つまらないこと。また、そういう人や物やそのさま。」[4]を採録するが、用例としては「バカだのチョンだの」「バカでもチョンでも」といった語形が大半であり、「チョン」単独で悪口として使われることは少ない。
語源説として、
- ちょんがれ節の語源「ちょぼくる」からの類推で①口先でうまく言いくるめる(者)②からかう、ばかにする(者)という意味になった
- 半人前や取るに足らない人のことを芝居の終わりに打つ拍子木の音になぞらえた
- 踊り字の「ゝ」(ちょん)が「漢字にも満たない中途半端な文字」であることから「半人前の人」を指すようになった
- 役務を帳票に記す際、筆頭名主は役職名と姓名を記したのに対して、筆頭以下の同役に対しては「以下同役」の意味で「
ゝ ()」と略記した上で姓名を記したことに由来し「取るに足りない人」を指すようになった
などがあるが、いずれもはっきりとした根拠があるわけではなく、類推にとどまる。
もとは江戸言葉だったと言われることもあるが、三好一光編『江戸語辞典』や、前田勇編『江戸語大辞典』には掲載されていない。
戦後、「バカでもチョンでも」が略された「バカチョン」という表現が広く使われるようになった。
一方、朝鮮人の蔑称としての「チョン」は、1960年代あたりから使われるようになった。やはり語源は不詳だが、「朝公(ちょうこう)」が変化して「チョン公」となったという説がある[5]。
これが「バカチョン」と結び付いて侮蔑的・揶揄的に使われたことで、「バカチョン」が侮蔑語としての意味を有するようになったと言われている[1]。こうした事情から、日本国内のメディアによって放送禁止用語の一種にされている[1]。
国会議員による使用
参政党の神谷宗幣代表(参議院議員)は、2025年7月、参議院選挙における街頭演説で、自党の憲法構想案への批判について、「あほうだ、ばかだ、チョンだとばかにされる」と述べた[6][7][8][9]。直後に訂正した[8]。これに対し、人権擁護団体「コリアNGOセンター」(大阪市)は、「チョンという言葉はこれまでも在日コリアンを嘲笑する差別的言動であり、理解した上で発言していることは明らかだ」とした抗議文を送付し、団体ウェブサイトでも公開した[10][11]。
脚注
注釈
出典
- ^ a b c 小林健治 2011
- ^ 上原善広 2011
- ^ 仮名垣 1926, p. 13.
- ^ 精選版日本国語大辞典「ちょん」[2]
- ^ “立命館大学「チョン語」問題”. 2024年11月19日閲覧。
- ^ 「【速報】参政代表「ばかだ、チョンだ」と発言」『47NEWS(よんななニュース)』2025年7月18日。2025年7月19日閲覧。
- ^ 「参政党・神谷代表、街頭演説で差別的発言 すぐに「訂正する」と釈明」『毎日新聞』2025年7月18日。2025年7月19日閲覧。
- ^ a b 「参政党神谷代表が差別発言 直後に訂正も攻撃的表現繰り返す」『47NEWS(よんななニュース)』2025年7月18日。2025年7月19日閲覧。
- ^ 「参政党・神谷代表、街頭演説で「バカだ、チョンだ」→直後に訂正 批判受けXでも釈明「差別や侮辱の意図で発言したわけではない」」『J-CAST ニュース』2025年7月18日。2025年7月19日閲覧。
- ^ 「大阪の人権団体、参政党に抗議文 神谷代表演説は在日コリアン差別」『47NEWS(よんななニュース)』2025年7月19日。2025年7月18日閲覧。
- ^ “参政党・神谷代表の差別発言への抗議文を送付”. 特定非営利活動法人 コリアNGOセンター (2025年7月18日). 2025年7月19日閲覧。
参考文献
- 『西洋道中膝栗毛』(1870年出版)
- 仮名垣魯文『万国航海 西洋道中膝栗毛』聚芳閣、1926年3月20日。NDLJP:1882506/15。
- 仮名垣魯文『万国航海 西洋道中膝栗毛』聚芳閣、1926年3月20日。NDLJP:1882506/15。
- 小林健治「『バカチョン』『チョン』という言葉」『差別語・不快語』にんげん出版〈ウェブ連動式 管理職検定02〉、2011年。ISBN 978-4-931344-31-0。
- 上原善広「チョンコ」『私家版 差別語辞典』新潮社、2011年、217-219頁。 ISBN 978-4106036798。
関連項目
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関連項目が多すぎます。
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- 江戸言葉
- ちゃんころ
- 高麗棒子
- 差別用語
- バカチョン
- チョンガー
- ちょんの間
- ペクチョン
- チョッパリ
- チョンキー、チンキー、チン・チャン・チョン - 主に英語圏での、中国人や、日本人、韓国人などのアジア人に対する蔑称。
- 強制連行 - 本来の語義を離れ、韓国人・中国人に対する人権問題の専門用語として使用されるようになった例。
外部リンク
「チョン (蔑称)」の例文・使い方・用例・文例
- 北朝鮮では、100チョンは1ウォンと同価
- 韓国で100チョンは1ウォンと等しい
- オロチョン族という民族
- オロチョン族という民族に属する人
- チョンリマ運動という,社会主義建設をめざす競争運動
- ランチョンミートという食べ物
- クロンチョンという音楽
- 老人の娘,チョン・リン(ファン・ウォン)は反逆者と戦うが,証しは盗まれる。
- リンはまた,兄チョン・ウエン(ジャッキー・チェン)に手紙を送る。
- 例えば,英国の首相(ヒュー・グラントによって演じられる)は,自分の秘書(マルティン・マカッチョン)に恋をする。
- 韓国人の漆工芸家,チョン・ヨンボク(全龍福)さんによって創作された。
- チョンさんは1988年に来日し,現在は岩手県に住んでいる。
- チョンさんはまた,盛岡にある巨大な岩の大きな割れ目から生えている桜の木,「石(いし)割(わり)桜(ざくら)」を描いた。
- チョンさんは,「岩手の文化を再認識して伝えたい。」と話す。
- 福岡第一高校の陽(ヨウ)仲(チョン)寿(ソ)選手にも同じことが起こった。
- チョルス(チョン・ウソン)は建設現場で働いている。
- 震源地は四川(スーチョワン)省の省都,チョンツー(成都)の北西にある山岳地域だった。
- 彼はカンフーが得意なクラスメートのチョンにいじめられる。
- ついに,ドレはカンフーの大会でチョンと対戦する。
- レチョン(子豚の丸焼き)はフィリピンのクリスマスのお祝いに欠かせないものです。
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