チベット・ウイグル問題をめぐる摩擦
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「中台関係」の記事における「チベット・ウイグル問題をめぐる摩擦」の解説
中台融和が急速に進む中、中国にとって最も敏感な問題であるチベット、ウイグル問題が新たな火種に浮上した。 2008年12月4日、ダライ・ラマ14世の訪台を中国への配慮から拒否した馬英九中華民国総統に対し、王金平立法院長は「(ダライ ・ラマ14世の訪台を)宗教的な角度から見れば、台湾にとってよい事であると信じる。ダライ・ラマ14世は人々から信頼、尊敬される宗教指導者であることからも、台湾はこの問題を再考すべきだ」とダライ・ラマ14世の訪台の再検討を要望し、民主進歩党の邱議瑩(中国語版)立法委員は「馬英九が政権を握っている間はずっと、ダライ・ラマ14世訪台は『タイミング的に悪い』。なぜなら馬さんは中国の台湾区長に過ぎないからだ」などと馬英九中華民国総統を揶揄した。 2009年8月30日、ダライ・ラマ14世は、台風第8号の被災者を慰問するために訪台した。その際、「(訪台は)極めて非政治的なもの」として、台湾の独立問題は「われわれは台湾の分離を求めているわけではないが、台湾の運命は2000万人以上の住民の手に掛かっている」「台湾は民主主義を享受しており、わたし自身も民主主義の推進に力を注ぎたい」と語った。これに対して中国は断固反対の声明を繰り返し、南京市共産党トップや中国人民銀行副総裁の訪台延期などで対抗措置をとった。 2009年9月には高雄市などでラビア・カーディル世界ウイグル会議議長のドキュメンタリー映画が上映された。中国側は高雄市観光中止を指示し、ホテルの大量キャンセルで対抗した。ただ、その後、台湾政府は中台関係悪化を懸念し、ラビア・カーディル議長の台湾入国を拒否し続けている。 ダライ・ラマ14世はこれまで1997年、2001年、2009年の3度訪台しており、「大変楽しかった台湾の旅を忘れたことはない」と4度目の訪問に意欲を示しており、2019年8月に台湾の客家テレビ(中国語版)の取材に応じ、台湾に対する中国からの圧力が強まっていることを「くじけてはいけない。情熱を持ち続けなさい」「民主主義と自由をもって最終的に全体主義に勝つことができる」などと述べた。 台湾の国会には、2016年に発足したチベット支援の議員連盟「台湾国会チベット連線」があり、議連の会長をフレディ・リムが務めており、その他にも民主進歩党、中国国民党、台湾基進、時代力量の議員が多数加わっている。「台湾国会チベット連線」は、ダライ・ラマ14世の訪台を目指しており、2020年7月8日の「台湾国会チベット連線」の記者会見で、民主進歩党の洪申翰(中国語版)立法委員は、近年、中国共産党はチベット・香港・新疆への弾圧を強めており、台湾は圧迫される民族の側に立つと述べ、チベットが一日も早く自由を取り戻すことを願うと述べ、記者会見に招かれたチベット亡命政府の駐台代表は、威圧や脅しをかける中国に一丸となって立ち向かわなければならないと訴えた。 2020年7月6日、ダライ・ラマ14世は85歳の誕生日を迎えるにあたり、台湾の支持者に宛てたビデオメッセージで「政治的状況の変化に伴い、再び台湾を訪問することができるかもしれない。何が起ころうとも、私の心はあなた方と共にある」と台湾訪問への意欲を示し、これに対して外交部は、ダライ・ラマ14世が台湾を訪問する場合は歓迎すると述べた。 2021年7月6日に蔡英文中華民国総統は、ダライ・ラマ14世の86歳の誕生日にあたり、SNSを通じて誕生日を祝し「(新型コロナウイルス感染症の)大流行が続く中、互いに助け合うため活動することがなぜ重要かを教えてくれたことに感謝したい」と伝えた。
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