ダイレクト・インピンジメント式(リュングマン式)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/08 04:16 UTC 版)
「ガス圧作動方式」の記事における「ダイレクト・インピンジメント式(リュングマン式)」の解説
独立したガスピストン、シリンダー等を持たず、ガス導入孔からガスチューブを通った発射ガスを直接ボルトキャリアに吹き付け作動させる方式。英語では“Direct Impingement”(ダイレクト・インピンジメント(方式)、以下当節では“DI式”と記す)が正式な名称であるが、本方式を採用した銃として著名な、スウェーデンのAg m/42の開発会社名から“Ljungman”(リュングマン)式と通称される。日本における和訳語では「ガス直噴方式」、漢字では「直噴式氣動操作」等と表記される。 “ダイレクト・インピンジメント ”とは「直接(Direct)衝撃(Impingement:この場合は発射ガスを指す)が加わる」の意味だが、発射ガスで直接ボルトキャリア全体を動かすのではなく、ガスチューブの後端を太くすることでシリンダー(外筒)とし、ボルトキャリアの先端がガスチューブの後端に嵌まり込んでピストン(内筒)となることでガスピストン/シリンダーとして機能する、という構造で、これにより作動に十分な圧力を確保している。 この方式は、通常のガスピストン方式に比べ構成部品が少なく、単純な構造にできる上、ボルトグループの質量も小さいため作動時の重心変動が少なく、体感反動を小さくできる利点がある。しかし、高温高圧のガスが銃の作動部へ吹き付けるため、部品や潤滑油の寿命の減少、作動部品の過熱による暴発の可能性、燃焼ガスに含まれる成分の蓄積によって部品が汚損して発生する作動不良を防止するために使用後の清掃に気を払わねばならない、などのデメリットがあった。作動時に機関部が大きく開くものは、ガスチューブから機関部へ噴射した高温高圧のガスが射手へ吹き付ける危険がある、という問題もある。また、発射薬の量が少ない(燃焼ガスの量と発生する圧力が小さい)小口径軽量弾では確実な動作が保証されないため、小口径軽量弾を用いるアサルトライフルの機構としては用いづらい、という難点があった。 銃の作動サイクル(発射速度)がガスチューブの長さと使用弾薬の発射薬の燃焼速度や火薬量に依存しているため、単純に銃身長を変えるとそれに比して作動サイクルが変動して不安定になってしまい、短銃身型などの派生型を作ることが難しく、規定の性能を発揮できる弾薬の選択幅が狭いため幅広い弾薬を使い難い、という問題もある。これに関連して、サプレッサー(消音器)を装着することによる作動環境の変化を受けやすい、という問題もあった。それらに対処するための機構(ガスチューブの引き回しやガスポートの位置を銃身長によって工夫する、ガス流量の調整装置をつける、等)を装備すると、この方式の利点であった“ガスピストン方式に比べ構成部品が少なく、単純かつ軽量である”という利点を損なってしまうことになる。 なお「DI方式の作動機構を持つ自動小銃」の代表であるとされるAR-10/15系列は、内部装置の構成としてはAg m/42やMAS 49等とは異なる独自の機構(後述)を持っている。 採用例 ロシニョール ENT(英語版) Ag m/42 Hakim(英語版) MAS 49
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