ゼウスの息子
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/24 04:41 UTC 版)
英雄は古代ギリシアの名家の始祖であり、祭儀や都市の創立者であり名祖であるが、その多くはゼウスの息子である。ゼウスはニュンペーや人間の娘と交わり、数多くの英雄の父となった。数々の王家が神の血を欲した。 数々の冒険と武勇譚で知られ、数知れぬ子孫を残したとされるヘーラクレースはゼウスと人間エーレクトリュオーンの娘アルクメーネーのあいだに生まれた。ゼウスは彼女の夫アンピトリュオーンに化け、更にヘーリオスに命じて太陽を三日間昇らせず彼女と交わって英雄をもうける。また白鳥の姿になってレーダーと交わり、ヘレネー及びディオスクーロイの兄弟をもうけた。アルゴス王アクリシオスの娘ダナエーの元へは黄金の雨に変身して近寄りペルセウスをもうけた。テュロス王アゲーノールの娘エウローペーの許へは、白い牡牛となって近寄り、彼女を背に乗せるとクレータ島まで泳ぎわたった。そこで彼女と交わってミーノースやラダマンテュス等をもうける。 ゼウスはまた、アルテミスに従っていたニュンペーのカリストーに、アルテミスに化けて近寄り交わった。こうしてアルカディア王家の祖アルカスが生まれた。プレイアデスの一人エーレクトラーとの間には、トロイア王家の祖ダルダノスと、後にデーメーテール女神の恋人となったイーアシオーンをもうける。イーオーはアルゴスのヘーラーの女神官であったが、ゼウスが恋して子をもうけた。ヘーラーの怒りを恐れたゼウスはイーオーを牝牛に変えたが、ヘーラーは彼女を苦しめ、イーオーは世界中を彷徨ってエジプトの地に辿り着き、そこで人の姿に戻り、エジプト王となるエパポスを生んだ。エウローペーはイーオーの子孫に当たる。 アトラースの娘プルートーとの間には、神々に寵愛されたが冥府で劫罰を受ける定めとなったタンタロスをもうける。またゼウスはニュンペーのアイギーナを攫った。父親であるアーソーポス河神は娘の行方を捜していたが、コリントス王シーシュポスが二人の行き先を教えた。寝所に踏み込んだ河神は雷に打たれて死に、またシーシュポスはこの故に冥府で劫罰を受けることとなった。アイギーナからはアイアコスが生まれる。同じくアーソーポス河神の娘とされる(別の説ではスパルトイの子孫)アンティオペーは、サテュロスに化けたゼウスと交わりアンピーオーンとゼートスを生んだ。アンピーオーンはテーバイ王となり、またヘルメースより竪琴を授かりその名手としても知られた。プレイアデスの一人ターユゲテーとも交わり、ラケダイモーンをもうけた。彼は、ラケダイモーン(スパルテー)の名祖となった。エウリュメドゥーサよりはミュルミドーン人の名祖であるミュルミドーンをもうけた。
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