セチリスタットとは? わかりやすく解説

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セチリスタット

別名:オブリーン、ATL-962
英語:cetilistat

膵臓リパーゼ作用阻害することにより、脂肪吸収抑える肥満治療薬一種イギリス製薬会社、アリザイム社によって創製された。2009年に、オランダのノルジーン社がセチリスタットの全権利を取得し2014年現在独占販売権有している。

武田薬品工業株式会社2003年にアリザイム社からセチリスタットの製造販売承認取得して臨床試験進め2013年厚生労働省から製造販売認可された。セチリスタットは、日本国内初め承認されリパーゼ抑制剤となった。セチリスタットは、BMI25以上の肥満症患者のうち、2型糖尿病および脂質異常症合併している患者のみに適用される武田薬品工業は、2014年にセチリスタットを「オブリーン」の商品名販売することを発表した

セチリスタットの臨床第3相試験では、52週間で約2.8%の体重減少見られプラセボ投与対照群に対して統計学的有意差確認された。また、血中ヘモグロビンA1cLDLコレステロールの値にも改善見られた。しかし、セチリスタットに対しては、体重減少少なく効果見込めないという意見があった。また、そもそも肥満病気ではなく保険適用必要性乏しいという意見もあり、2013年11月中央社会保険医療協議会中医協総会では、オブリーン対す保険適用却下された。

セチリスタット

分子式C25H39NO3
その他の名称2-Hexadecyloxy-6-methyl-4H-3,1-benzooxazine-4-one、2-(Hexadecyloxy)-6-methyl-4H-3,1-benzooxazine-4-one、セチリスタット、Cetilistat、ATL-962
体系名:2-ヘキサデシルオキシ-6-メチル-4H-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-(ヘキサデシルオキシ)-6-メチル-4H-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン


セチリスタット

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/07 01:44 UTC 版)

セチリスタット
IUPAC命名法による物質名
識別
CAS番号
282526-98-1 
ATCコード none
PubChem CID: 9952916
ChemSpider 8128526 
UNII LC5G1JUA39 
KEGG D09208  
ChEMBL CHEMBL2103825 
化学的データ
化学式 C25H39NO3
分子量 401.582 g/mol
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セチリスタット(Cetilistat)は肥満症治療薬の一つである。


作用機序

オルリスタットと同様に、膵臓から分泌される酵素であるリパーゼを阻害し、消化管内でトリアシルグリセロールが分解されることを防ぐ。酵素が働かない事で、トリグリセリド加水分解されず、遊離脂肪酸の吸収が抑えられ、未消化のまま排泄される[1]。商品名オブリーン。開発コードATL-962。

他の脂質吸収抑制剤と同様に脂溶性ビタミンの吸収を阻害するので、脂溶性ビタミン剤の服用が必要であると思われる。

効果

予定されていた効能・効果
肥満症 但し、2型糖尿病脂質異常症を共に有し、食事療法運動療法を行ってもBMIが25kg/m2以上の場合に限る

臨床試験では、セチリスタットはオルリスタットと同様の体重減少作用を示し、副作用(脂肪便、下痢、便失禁、頻回排便、放屁)も同様であった[2][3]。肝障害の有無・頻度・程度は不明である。その一方第II相臨床試験で、セチリスタットはオルリスタットよりも体重減少量が有意に多く、忍容性もより高かったとの結果もある[4]。第III相偽薬対照比較臨床試験の結果、セチリスタットは有意に体重を減少させただけでなく、内臓脂肪面積減少HbA1c低下LDLコレステロール低下についても有意差を以って有効性を示している。

Norgina BV社が日本を除く世界でのセチリスタット開発の権利を持っている[5]

日本での販売断念

セチリスタットは、日本でも治験が実施され、2012年10月に武田薬品工業により、商品名「オブリーン」で承認申請され[6]、2013年9月に厚生労働省により承認された[7]。薬価収載は2013年中にされると思われ薬価も決定していたが[8]中央社会保険医療協議会では上記の効果の内体重減少のみに着目され、セチリスタットの有効性や保険医療上の必要性が問われ、薬価収載が認められず[9]、異例の収載保留となった[9]

2018年7月13日に武田薬品工業は、薬価収載が見込めないことを理由に、日本での開発・製造・販売権を、導入元企業のオランダのノルジーンに、2018年10月13日付で返却すると発表した[10]

出典

  1. ^ Yamada Y, Kato T, Ogino H, Ashina S, Kato K (2008). “Cetilistat (ATL-962), a novel pancreatic lipase inhibitor, ameliorates body weight gain and improves lipid profiles in rats”. Hormone and Metabolic Research 40 (8): 539–43. doi:10.1055/s-2008-1076699. PMID 18500680. 
  2. ^ Kopelman, P; Bryson, A; Hickling, R; Rissanen, A; Rossner, S; Toubro, S; Valensi, P (2007). “Cetilistat (ATL-962), a novel lipase inhibitor: A 12-week randomized, placebo-controlled study of weight reduction in obese patients”. International journal of obesity (2005) 31 (3): 494–9. doi:10.1038/sj.ijo.0803446. PMID 16953261. 
  3. ^ Padwal, R (2008). “Cetilistat, a new lipase inhibitor for the treatment of obesity”. Current opinion in investigational drugs (London, England : 2000) 9 (4): 414–21. PMID 18393108. 
  4. ^ “Weight loss, HbA1c reduction, and tolerability of cetilistat in a randomized, placebo-controlled phase 2 trial in obese diabetics: comparison with orlistat (Xenical).”. Obesity. (Jan 2010). PMID 19461584. 
  5. ^ Norgine acquires cetilistat[リンク切れ] Archived 2011年1月24日, at the Wayback Machine.
  6. ^ 肥満症治療薬cetilistat(開発コード:ATL-962)の日本における製造販売承認申請について”. 武田薬品工業 (2012年10月30日). 2015年3月29日閲覧。
  7. ^ 肥満症治療剤「オブリーン錠120mg」の日本における製造販売承認取得について”. 武田薬品工業 (2013年9月20日). 2015年3月29日閲覧。
  8. ^ 新医薬品一覧表(平成25年11月19日収載予定) - 厚生労働省 2018年2月23日閲覧
  9. ^ a b 土田絢子 (2014年12月4日). “肥満症の新薬、中医協で異例の薬価塩漬け”. 日経メディカル (日経BP). https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/201412/539684.html 2021年2月21日閲覧。 
  10. ^ “武田薬品 抗肥満薬オブリーン錠 未発売のまま導入元企業に返還 「薬価取得見込めず」”. ミクスonline (株式会社ミクス). (2018年7月17日). https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=62116 2021年2月21日閲覧。 

関連項目



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