スポーツ、文化分野での命名権
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/11 13:55 UTC 版)
「命名権」の記事における「スポーツ、文化分野での命名権」の解説
従来から、スポーツ大会などにスポンサーの名称を冠する形での命名権ビジネスは存在していたが、1990年代後半頃から、アメリカにおいてスポーツ施設等の名称に企業名を付けるビジネスが広がった。まず、メジャーリーグでクラシカルな新球場が多く建設されたとき、その名称に企業名が命名され始め、高い費用対効果が認められたことから、他のスポーツ種目やヨーロッパのスポーツ界へと広がっていった。日本においては、2000年代前半から赤字の公共施設の管理運営費を埋め合わせる手段のひとつとして導入され、その範囲はスポーツ施設や文化施設、路面電車の停留所などに及んでいる。ちなみに地方自治法において命名権売却は「公有財産の処分」にあたらないため、各自治体の議会での議決は必要ない。 施設等の管理者にとっては、命名権を販売することにより収入が得られるメリットがあり、命名権を購入する企業にとっては、スポーツ中継やニュースなどで命名した名称が露出する機会を得られ、宣伝効果が見込まれる。 なお、命名権に限らず、一般的にイベント主管団体の規定(オリンピックやFIFAワールドカップ等の大会)により商標が使用できない場合がある。この場合、命名権に商標を導入している施設については施設名に商標の入っていない正式名称を使用することが義務付けられる。正式名称そのものに商標が含まれているケース等では、別称を付けて対応することとなる。 大会やリーグの冠スポンサーと命名権を取得した業者が競合する場合、主催者側では命名権名称を使用せず正式名称で案内することがある。 NHKは放送法第83条により広告放送が禁止されていることを踏まえ、取材・政策の基本姿勢を示した『NHK放送ガイドライン』において企業名の取り扱いについて「本質的に必要なのか、その他の表現に置き換えることは出来ないのか」等の観点から判断しており、(施設)命名権に基づく名称については『施設の名称である以上、放送に使用することはやむをえないが、名前の一部に企業名などが含まれているため、ニュースや番組の中では繰り返しを避けて、抑制的に名称を用いる」とした上で、「企業名などを除いた施設名が定着している場合には、企業名などを除いた名称を使うこともある」としている。独自に名称の差し替えを行っている例としては大相撲中継のケースがあり、本場所の会場で命名権が導入されている大阪府立体育会館(春場所、2013年から)と愛知県体育館(名古屋場所、2018年から)の名称を、主催者(日本相撲協会)が使用(併記)している命名権名称ではなく、従来からの「大阪府立体育会館」「愛知県体育館」の正式名称で表記している。ただし、大相撲以外の他の競技やイベントをNHKがこの2会場から中継する場合(B.LEAGUEにおける大阪エヴェッサおよび名古屋ダイヤモンドドルフィンズのホームゲームや、音楽ライブなど)は、他の命名権導入会場からの同種の競技・イベントの中継と扱いを合わせて「抑制的に名称を用いる」基準で命名権名称を使用する場合もある。
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