スペースセグメント
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/11 05:24 UTC 版)
「国際コスパス・サーサット・プログラム」の記事における「スペースセグメント」の解説
LEOSAR(Low-Earth Orbiting Search And Rescue)低軌道衛星 極軌道を周回する補完衛星となる。運用当初はシステムの主軸を担っていた。周回高度が低いことでフットプリントが小さい上、移動に伴い送受信できない空白域が生まれるため(Search and Rescue Processor, SARP)システムによるリアルタイム送信のほか、受信した信号を一旦蓄積するためストアアンドフォワード(Search and Rescue Repeater, SARR)モジュールが搭載されており、このモジュールにより通信可能な地上局が現れた際にまとめて送信を行う。アメリカ海洋大気庁が運用するPOES衛星と欧州宇宙機関が運用するMetOp衛星が使用されている。 GEOSAR(Geostationary Search And Rescue)静止衛星 静止衛星となり、信号処理を行う地上局であるGEOLUTと構成される。地球に対し固定された静止衛星のためビーコンの位置特定に用いるドップラー効果が使用できないため遭難信号の中継のみとなるが、受信した遭難信号を基に事前に登録されたID情報をデータベースから照会する仕組みとなっているため情報の精査を行う上で重要となり、遭難信号に位置情報が含まれている場合は位置の特定が可能となる。ビーコンの位置が特定できないことがGEOSAR衛星の欠点となるが、空白域を生まず全地球上をカバーするため必要であり、これにより24時間のリアルタイム通信が可能となった。アメリカ海洋大気庁のGOES衛星、インド宇宙研究機関が運用するINSAT衛星、欧州気象衛星開発機構が運用するメテオサットが使用されている。 MEOSAR(Medium Earth Orbiting Search and Rescue)中軌道衛星 2005年以降から運用された最新システムとなり、LEOSARとGEOSARの利点を融合させた機能を有しており、コスパス・サーサット・システムの主要衛星となる。高度も中軌道となりフットプリントもLEOSARに比べ7倍と大きく、ドップラー効果により瞬時にビーコンの位置が特定される。SARRトランスポンダを搭載した欧州連合が運用するガリレオ、ロシアのGLONASS、アメリカのGPSなどで構成される。また、GPSに関してGPS衛星やGPS Block IIFに搭載されたSバンド帯がコスパス・サーサット・システムで使用されている。2025年頃から打ち上げが予定されているGPS Block IIIFに搭載予定のLバンド帯の使用も計画されている。少なくとも24基の衛星で構成されており、地球上のどの場所においても常に4基以上によって監視されており、最終的に合計70基以上の衛星によってシステムが運用される。 中国も北斗衛星測位システムに使用される衛星の内6基がコスパス・サーサット用途に割り振られており、既に打ち上げが完了している。このほか、ガリレオで使用されるMEOSAR衛星を利用した「リターン・リンク・サービス(RLS)」が開始されており、これは救難信号を発したRLS対応のビーコンに対し「救難信号を受信した」と衛星からビーコンに対し送信することでビーコンにメッセージが表示される機能となっている。RLSを提供しているのは唯一ガリレオのみとなっており、この機能により要救助者に対し生存に関し重要な要素となる「安心感」を与えることを目的として開始されており、データから平均37秒で返信を行っていることが明らかとなっている。 日本でもRLSを利用した遭難信号に対する確認作業と自動遮断システムが研究されている。これは個人携帯用ビーコン(PLB)での誤送信率が75%、イーパブでは95%と共に高い水準にあり、各国とも救助リソースを無限に割ける訳では無く、本来SARの円滑化を目的とするため設置されたシステムであり、双方向通信を可能にすることで誤送信への対応や、救難活動は初動が重要であるため、専用受信機を設置した上で遭難情報を基に付近を航行する船舶などを呼び出し救助活動を促すことなどが計画されていることによる。
※この「スペースセグメント」の解説は、「国際コスパス・サーサット・プログラム」の解説の一部です。
「スペースセグメント」を含む「国際コスパス・サーサット・プログラム」の記事については、「国際コスパス・サーサット・プログラム」の概要を参照ください。
- スペースセグメントのページへのリンク