スターシップへの改名と試験の開始
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/10 13:16 UTC 版)
「スターシップ (宇宙船)」の記事における「スターシップへの改名と試験の開始」の解説
次いで2018年11月には、2段目の宇宙船部分をスターシップ、1段目のブースター部分をスーパー・ヘビーの名称とすることを発表。また機体の素材がカーボンからステンレス鋼へと変更され、外見がこれまでの白い姿から銀色に変化した。翌2019年1月にはスターホッパーと呼ばれる最初の試験機が完成し、8月には高度150mの飛行と着陸に成功した。9月には新たな試験機スターシップMk1が公開され、さらに高高度の飛行試験が予定された。同時に設計にさらなる変更が加えられ、後方の翼は2枚になるとともに着陸脚機能が削除され、また前方のカナードはより大型化した。さらに、全ての翼が可動式となり、大気圏内飛行中に姿勢制御のために使用されることになった。 しかし、同年11月20日にスターシップMk1はテキサス州ボカチカのスペースX社試験施設での燃料タンクの加圧テスト中、破裂して失われた。同社はこのテストがシステムを最大限に加圧するものであったと発表し、テストの失敗は全くの想定外ではなかったと主張した。その後、スペースX社は予定していた次の試験機スターシップMk2の製造を中止し、スターシップSN1と改名したスターシップMk3の設計の改良と製造に注力することとした。マスクはツイッター上でユーザーからの質問に答える形で「スターシップの完成までには少なくともスターシップSN20までの機体が必要になるだろう」と述べた。 2020年2月29日、スターシップSN1は燃料タンクの加圧テスト中に破裂して失われた。その後もSN2、SN3と立て続けに同一のテストに失敗していたが、4月26日のスターシップSN4にて初めて加圧テストに成功した。SN4では高度150mの試験飛行も行われる予定だったが、5月29日にラプターエンジンを搭載しての燃焼試験中に爆発し、機体は失われた。 2020年8月4日、スターシップSN5が高度150mの飛行試験に成功した。実物大の機体として飛行に成功したのはこれが初である。続くSN6も同様の飛行試験をした。SN7は燃料タンクの極低温試験のみに従事し、タンク壁の厚みが異なるSN7.1と7.2が製造され、のちにスクラップとなった。12月10日にはノーズコーンと翼を搭載した完全な姿のスターシップSN8が、高度12.5kmの初の高高度飛行試験を行い、打ち上げから再突入までの試験に成功した(着陸は燃料タンクの減圧により失敗)。SN9も同様だったが(エンジン1基が再点火に失敗)、2021年3月4日のSN10では高高度飛行試験からの着陸にも成功した(ただし厳密に言うと、想定されていたより着陸時の速度が速く、衝撃が強かったためメタン漏れが発生し、着陸後8分で爆発した)。3月30日、霧の中で4回目の高高度飛行試験機であるスターシップSN11が飛行した。SN11は配管の問題でエンジン再点火時に2番エンジン燃焼室で火災を発生させ、最終的には機体の空中爆発・分解を起こした。イーロンマスク氏はスターシップSN11に続くSN12/13/14は製造をキャンセルし、代わりに機体、エンジン、アヴィオニクス全般の設計を改良したSN15以降の試験機の製造及びテストに専念するとした。高高度試験機としては「後期型」と呼べるSN15は2021年5月6日に飛行し、初めて軟着陸に成功した。
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