ジエチルトルアミドとは? わかりやすく解説

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DEET

分子式C12H17NO
その他の名称デエト、オウタン、フリペル、デタミド、ジエルタミド、m-デルフェン、N,N-ジエチル-m-トルアミド、Deet、Autan、Flypel、Detamide、Dieltamid、m-Delphene、N,N-Diethyl-m-toluamide、N,N-Diethyl-3-methylbenzamide、Naugatuck DET、Metadelphene、Repudin-Special、Repper DET、Off、レプジンスペシャル、オフ、レッパーDET、Al-3-22542、フライペル、ENT-20218、Dieltamide、M-Det、ENT-22542、メタデルフェン、ナウガツックDET、デルフェン、DETA-20、m-DETA、DEET、DETA、DET、Delphene、オータン、ジエチルトルアミド、Diethyltoluamideディート、3-Methyl-N,N-diethylbenzamide
体系名:N,N-ジエチル-3-メチルベンゼンカルボアミド、3-メチル-N,N-ジエチルベンズアミド、N,N-ジエチル-3-メチルベンズアミド


ディート

(ジエチルトルアミド から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/04 01:36 UTC 版)

ディート
識別情報
CAS登録番号 134-62-3 
PubChem 4284
ChemSpider 4133 
UNII FB0C1XZV4Y 
KEGG D02379 
ChEMBL CHEMBL1453317 
ATC分類 QP53GX01
特性
化学式 C12H17NO
モル質量 191.27 g/mol
密度 0.998 g/mL
融点

-45 °C, 228 K, -49 °F

沸点

288-292 °C

危険性
安全データシート(外部リンク) External MSDS
EU分類 T
Rフレーズ R23 R24 R25
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

ディートDEET)とは、昆虫などの忌避剤(虫よけ剤)として用いられる化合物である。IUPAC名N,N-ジエチル-3-メチルベンズアミドだが、N,N-ジエチル-m-トルアミドとも呼ばれる。分子量 191.27。凝固点 −45 ℃、沸点 285 ℃で、常温では無色液体である。水には溶けにくくアルコールなどの有機溶媒によく溶ける。CAS登録番号 [134-62-3]。消防法に定める第4類危険物 第3石油類に該当する[1]

用途

使用目的は、皮膚に直接または衣服に塗布し、昆虫ダニによる吸血を防ぐことである。特にダニ(ツツガムシ病ライム病を媒介する)や日本脳炎デング熱ジカ熱ウエストナイル熱マラリアなどを媒介する)トコジラミ(南京虫)に対する防御手段として、高い有効性を示す。比較的安価で歴史もあることから、世界中で使用されている。

ディートは、第二次世界大戦中のジャングル戦の経験に基づき、アメリカ陸軍で開発された。1946年に軍事用、1957年に民生用の使用が開始された。ほとんどの虫よけスプレーで、主成分として用いられる。昆虫がディートの臭いを嫌うが、どうして嫌うのか忌避作用の詳細は分かっていない。この効果は昆虫に限らず、昆虫とは構造が全く異なる、ダニヒルナメクジの一部にも有効である。

ディートは忌避剤として最も効果的で、効力も長持ちすることが示されている。日本では、長らくDEET12パーセント以下の製品しか存在しなかったが、2016年平成28年)6月15日に、人体用害虫忌避剤において、有効成分の高濃度製品(DEET30%)が第二類医薬品として製造販売承認の迅速審査を発表し[2]、高濃度ディートが市販されている。

人によっては、アレルギーや肌荒れを起こすことがあり、デューク大学の動物実験で連続的大量摂取により、神経毒性が見られたとの報告もあるが、実験の試験方法や再現性などの不備が指摘されている[3]

合成

m-トルイル酸ジエチルエーテル溶媒中、ピリジン存在下で塩化チオニルによりm-トルイルクロリドへと変換する。m-トルイルクロリドを低温にてジエチルアミンと反応させるとDEETが生成する。

使用上の注意

ディートを用いた製品

使用に際しては、アメリカ疾病予防管理センター (CDC) では、次のことを推奨している。

  • 飲んだり吸入したりしないよう注意が必要。
  • 特に乳幼児に対し使用する場合は手のひら、顔(特に目、口)を避ける。
  • 乳児は、大人の手のひらで薄く延ばし、これを塗る。
  • 子供同士で虫よけ剤を塗ったり、スプレーしたりさせない。
  • 衣服へ塗る場合、内側(皮膚に直接触れる部分)へ塗布しない。
  • 長時間塗ったままにしない。子供で約4時間、大人で約8時間程度を目安とする。さらに長時間の使用が考えられる場合は、濃度の低いものを使用するか、薄く塗る方法をとる。
  • 帰宅後など、昆虫に接触する機会から離れた場合は、速やかに石鹸などを使い、洗い落とす。
  • 虫よけ剤は、子供の手の届かないところへ保管する。
  • 夏場など、日焼け止めと併用する場合は、日焼け止めを最初に塗り、その上に虫よけ剤を塗る。

ディートの濃度100%では虫よけ効果の持続時間は10時間であるが、濃度30%で8時間、10%で2時間、5%では約90分となる。したがってディートを製造しているメーカーは、様々な屋外での作業、疾病に感染する可能性が高い地域などについては「繰り返し」塗る使用法を推奨している[要出典]

日本で製剤中のディート濃度は、第二類医薬品が12%、防除用医薬部外品では10%以下となっていたが、厚生労働省2016年平成28年)6月15日に、濃度30%まで高めた虫よけ製品の製造販売の申請があった場合、早期審査の対象にすると通知し[4]、高濃度虫よけ剤の流通が開始された。

世界で流通するディート製品の中には、濃度80~100%のものがあり、これを脚につけたまま自動車に乗ると、人造皮革の座席表面を溶かす場合がある。ディートは多くのプラスチックレーヨン皮革に影響を及ぼすが、綿毛糸(羊毛など)、ナイロンには影響を及ぼさない。

参考文献

  1. ^ 法規情報 (東京化成工業株式会社)
  2. ^ 防除用医薬品及び防除用医薬部外品の製造販売承認申請に係る手続きについて』(PDF)(プレスリリース)厚生労働省医薬・生活衛生局審査管理課長、2016年6月15日https://www.jfsmi.jp/pdf/20160615_1.pdf2017年6月20日閲覧 
  3. ^ Abdel-Rahman, A.; Dechkovskaia, A. M.; Goldstein, L. B.; Bullman, S. H.; Khan, W.; El-Masry, E. M.; Abou-Donia, M. B. (2004). "Neurological deficits induced by malathion, DEET, andpermethrin, alone or in combination in adult rats." J. Toxicol. Environ. Health. A 67 (4): 331–356. PMID 14713564
  4. ^ 防除用医薬品及び防除用医薬部外品の製造販売承認申請に係る手続きについて”. 厚生労働省医薬・生活衛生局審査管理課長 (2016年6月15日). 2022年7月31日閲覧。

関連項目

外部リンク

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