シフト・ロック機構
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/18 04:59 UTC 版)
「ブレーキとアクセルの踏み間違え事故」の記事における「シフト・ロック機構」の解説
1980年代後半、アメリカ合衆国ではアウディ5000(日本や欧州ではアウディ・100として流通)のオートマチック車で急加速事故が多発し問題となった。これを受け1989年、アメリカ国家道路交通安全局(NHTSA)が調査を行った結果、急加速の主な原因を「ペダルの踏み間違い」と結論づけた。アウディ側は、解決策としてキックダウン(急激なアクセルを行った際に生じるシフトダウン)を自動的に抑えるシフト・ロックを設計した。同様の設計手法は、他のメーカーも採用に広がった。 日本では1987年頃からAT車の暴走事故が社会問題として大きく報道され始めた。それまではペダルの踏み間違いが暴走の主因であるとされていたが、車体の構造欠陥などが事故原因ではないかとの指摘がユーザー側からされるようになり、特に日産自動車でノックダウン生産されていたフォルクスワーゲン・サンタナでは、アイドル回転制御装置の欠陥(アウディ・100も共通の部品を採用していた)が当時の衆議院にて直接指摘される事態にまで至った。運輸省は国会での質問趣意書を受け、過去の暴走事故も含めた包括的な調査を開始、1989年に「アイドル回転数補正装置や定速走行装置に異常が生じた場合、暴走に結びつく可能性のあるエンジン回転数の異常上昇が発生する」事を最終報告書に記している。しかし、ユーザー側から指摘のあった(違法CB無線などによる)電波ノイズによる暴走発生の可能性については記載されなかった。また、同年の運輸白書では「突然のエンジン回転数上昇と同時にブレーキも効かなくなるような暴走現象は認められなかった」とも結論づけられている。日本自動車工業会は社会問題が本格化した1987年末に、1989年以降発売される新車の全てに「エンジンを始動後、ブレーキペダルを踏みながらでないとPレンジから他のレンジにシフトレバーを動かせない」シフトロック装置を標準搭載する事を決定、日本車にもシフトロック機構が普及する事となった。
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