シフト方式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/27 06:21 UTC 版)
新JISかな配列は、シフトキーとして「小指位置」または「親指位置」を使用し、シフト方式としては逐次シフトもしくは普通のシフトを採用した。また、文字キーだけでなくシフトキーをも対象に含めたうえで、両手による交互打鍵を積極的に使う仕様とした。 新JISかな配列は、より操作回数が少なく済む「親指シフト」と比較されがちだが、「親指シフト」については一部の専門家から、「親指シフトの同時打鍵ロジックでは設計上、シフトを伴う打鍵が連続する場合について、ロールオーバー打ちができない」という点が疑問視されていた。このような主張をする人達にとっての最良打鍵法は、(親指シフトが目指した)省打鍵性よりも、交互打鍵性をより重視することだとされている。同様の主張はM式キーボードを開発した森田正典も行っており、こような考えを追求した例が大岩元が開発したTUT-Codeにおける半濁音の入力であり、交互打鍵の4打で1文字のかな「ぱ」「ぴ」「ぷ」「ぺ」「ぽ」を出力する。 一方で新JISかな配列では、指の運動機能から計算して、最も速く打つことができる入力法を選別するというアプローチを採用した。計算結果から、大枠として「行わなくてもよいムダな交互打鍵」によって総打鍵時間が増加することを避けるために「頻度の高い文字は1打鍵で打ち、そうでない文字のみを2打鍵で打つ」ことが有効であるとされ、省打鍵性と交互打鍵性をミックスさせる入力法が選び出されることとなった。 大枠が決まったあとの細かなチューニングとして、「1打鍵で打つ文字同士」「1打鍵で打つ文字に絡む2打鍵で打つ文字」「2打鍵で打つ文字同士」のそれぞれに限って、交互打鍵性を高めるために、左右に振り分ける文字のグループを計算により決定した。こうすることで、総打鍵時間が短く交互打鍵率も高い入力法を設計することができ、結果としてもっとも素早く入力できると考えられた。 こうした設計の結果、新JISかな配列は「ロールオーバー打ちが可能」かつ「可能な限り交互打鍵率を高める」条件を満たせることとなった。 新JISかな配列では、仕様を守ったままでも、既存のキーボードから物理的な変更を一切加えることなく実装できる特徴を持つため、メーカーとしては金型が流用できるというメリットもあった。このため一部のワープロメーカーから「50音かな・JISかな・新JISかな・Qwertyローマ字」などの組み合わせで、複数の入力方式に対応するワープロ専用機が出荷された時期もあった。
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