サービスの取得の是非と課税
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 22:44 UTC 版)
「マイレージサービス」の記事における「サービスの取得の是非と課税」の解説
マイレージサービスにおいては、マイルを得た時点でサービスを得るのではなく、マイルを使用する時点で相応の利益(サービス)を得ることになる。従って、一般的な値引きサービスとは異なる。これはマイレージサービスだけの問題ではなく、小売業が発行するポイントカードでも同じ現象が発生する(例えば、業務による出張時の経費を個人のクレジットカードで立替払いし、ポイントサービスを得た場合等)。 日本の場合、2001年7月3日発行の納税通信によれば、納税主務官庁である国税庁が「マイルは小市民的な喜びや景品の一種と考えるのが適当。お金の出所が会社ということからもマイルは課税対象にならない」という見解を示していたが、2003年の所得税関係質疑応答事例集によれば、「業務による出張で発生したポイントを利用者である従業員の名義で獲得した場合、それは実質的に出張を命じた企業から従業員への贈与による一時所得になる」という見解に変わった(但し、所得税の一時所得には50万円の特別控除があるため、他の一時所得も加算して特別控除額を超える場合に所得税が課税されることになる)。 このように出張を命じる会社には明示的に負担をかけないかたちで利用者個人に利便を与えることで、囲い込み効果を狙ったのがマイレージサービスであるが、海外においても対応は異なっており、カナダでは課税対象としているが、米国では、多数にわたる業務出張に対する個人への補償と捉えている企業が多いと言われている。 ただし、業務倫理が問われることの多い公務員が属する政府機関・官公庁においては、英国などマイルの取り扱いにおける倫理規程を定めているケースがある。日本でも、会計検査院と法務省は個人名義でのマイル取得を禁じている。このような倫理的観点からマイルの「私用」を禁じている企業も一部には存在している。 出張者の多い大手企業の中には、航空会社と直接契約して、自社の出張にかかるフライトについてはマイレージサービスの提供を不要とする代わりに明示的なディスカウントを求める例があるとの報道もある。 一方、航空各社は法人対応のマイレージサービスを行っている。このような場合は蓄積されたマイルは法人の所有となり、個人に対する利益供与にはならない。ただし、航空会社からの利益還元という一面もあり、その利益については税法上の一時所得になるとされている。ただし、実際にこの運用を行っているかについては、不明な点が多いとされる。
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