コーンシロップ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/30 00:25 UTC 版)
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コーンシロップ(英: Corn syrup)とは、トウモロコシのデンプン(コーンスターチ)を酵素、酸で分解し糖に変えた糖液、シロップ。異性化糖(HFCS)と異なりブドウ糖の含有率が高く、粘性が高い。水溶性は低く、甘味度はグラニュー糖と比較して半分以下と低い。150℃付近で溶解、カラメル化する。
1811年に、ロシア帝国の化学者コンスタンチン・キルヒホッフが、ジャガイモのデンプンからシロップを抽出する方法を発見した。やがてシロップ製造は工業生産化し、アメリカでは1840年代まではジャガイモを原料として、1860年代以降はトウモロコシを原料として生産された。
1965年、高崎義幸博士はイソメラーゼ技術によってグルコースの一部を果糖に転換し、甘味度をグラニュー糖と同等に高めたブドウ糖と果糖の混合液「異性化糖(高果糖コーンシロップ:HFCS)」を効率的に精製する方法を発表した。1966年、アメリカではスタンダード・ブランズが、この方法による生産の独占実施契約を結んだ[1]。現在では酵素分解を制御することで、粘度や甘味度を調整でき、業務用や一般用など用途別にグレードが存在する。
製造過程
トウモロコシからデンプン粒(コーンスターチ)を抽出し、酸、微生物酵素、麦芽酵素で処理、精製する。デンプンの分解には麹菌や黒麹菌が使われる。
用途
コーンシロップは他の甘味料に比べ粘度が高く水分を吸収するため、キャンディーやアイスクリームなど、口当たりを滑らかにしたり、ねっとりした歯ごたえを与えたい食品に使われる。また、賞味期間が長く蜂蜜やグラニュー糖ほど味に癖がないため、加工食品や清涼飲料水の甘味料として広く利用されている。製菓の分野では、飴細工やアイシング、グレーズの材料に利用される。また、焼き菓子に入れると重曹と反応して膨らみが良くなる特徴がある。
食品以外の利用として、ゴムで作った人形にコーンシロップを詰めて、自在に引き伸ばしたり変形させることができる玩具が、ストレッチ・アームストロング[2]やナード(Nurd)[3]などの商品名で1970年代から販売されている。
関連項目
出典
- ^ “バイオテクノロジーの道を拓いた産総研の特許輸出 第1号”. 産総研マガジン:産業技術総合研究所. 2025年7月30日閲覧。
- ^ David A. Katz (2003年7月17日). “Chemistry in the Toy Store” (PDF). chymist.com. 2019年1月16日閲覧。
- ^ 坂根巌夫『新・遊びの博物誌』 1巻、朝日新聞社〈朝日文庫〉、1986年、38-41頁。ISBN 4022603836。
参考文献
- Harold McGee 著、香西みどり 訳『マギー キッチンサイエンス: 食材から食卓まで』共立出版、2008年(原著2004年)。 ISBN 9784320061606。
外部リンク
- 「高フルクトースコーンシロップ」『栄養・生化学辞典』朝倉書店 。コトバンクより2025年7月20日閲覧。
- 「コーンシロップ」『デジタル大辞泉』小学館 。コトバンクより2025年7月20日閲覧。
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