カリフ時代における経済
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/25 01:45 UTC 版)
「イスラム経済」の記事における「カリフ時代における経済」の解説
アラブ農業革命により、性や民族、宗教に関係なく土地の売買などが認められた結果、社会にも少なからぬ変化が生じた。農業や工業、商業のほか雇用に関する商取引に際しては、クルアーンに基づき署名が必要とされ、関係各者は契約書の写しの保持を義務付けられた。 一方、8世紀から12世紀にかけて市場経済や商人資本主義をはじめとして、原基資本主義とでも言うべきものはカリフ時代にも存在した。従来は別々の通貨を用いていた地域を統合しディナールを広めたことで貨幣経済が発展したほか、これに伴い小切手や約束手形、複式簿記など今日でも用いられる会計技術が生まれた。また、国家から独立した株式会社に類する組織が存在したのも、中世イスラム世界においてである。こうした概念の多くは後の13世紀以降、中世ヨーロッパでも受容、発展を遂げることとなった。 福祉や年金といった概念は、五行の1つであるザカートの形で7世紀以降イスラム法に明記されている。イスラム政府の国庫に納められた税金(ザカートやジズヤを含む)は、貧困層や高齢者、孤児や未亡人の他障害者など社会的弱者に対して配分された。また、イスラム法学者のアル・ガザーリーによると、政府は災害や飢饉の発生の際全域に食料を供給することが期待されていたため、カリフ時代を福祉国家の先駆けとする説がある。
※この「カリフ時代における経済」の解説は、「イスラム経済」の解説の一部です。
「カリフ時代における経済」を含む「イスラム経済」の記事については、「イスラム経済」の概要を参照ください。
- カリフ時代における経済のページへのリンク