カップリングモード
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/07/16 16:42 UTC 版)
「炭素13核磁気共鳴」の記事における「カップリングモード」の解説
もう一つの潜在的に複雑な事態は、炭素と水素との間の大きな1結合J結合(典型的には100から250 Hz)の存在に起因する。スペクトルを複雑化させ、感度をさらに低下させるこれらのカップリングを抑えるため、炭素NMRスペクトルは通常プロトンをデカップリングしてシグナルの分裂を取り除く。炭素間のカップリングは13Cの低い天然存在量によって無視できる。したがって、それぞれのプロトンの一に多重線を与える典型的なプロトンNMRスペクトルと対照的に、炭素NMRスペクトルはそれぞれの化学的に非等価な炭素原子について単一のピークを示す 。 さらに1H NMRと対照的に、シグナルの強度は等価な13C原子の数に通常比例せず、周囲のスピン(通常は1H)の数に大きく依存する。定量的なスペクトルが必要な場合は、繰り返しスキャンの間に核を緩和させるための十分な時間を取ることで測定ができる。 13Cスペクトルの最も一般的なモードはプロトンノイズデカップリング、オフレゾナンスデカップリング、ゲーテッド(制御付き)デカップリングである。これらのモードは、13C - H (110–320 Hz)、13C - C - H (5–60 Hz)、そして13C - C - C - H (5–25 Hz) の大きなJ値に対処するように意図されている。 ほとんどのスペクトルで使われるプロトンノイズデカップリングでは、プロトンが核スピンを変化させる範囲(23,486ガウスの磁場では100 MHz)をカバーする広い範囲(約1000 Hz)のラジオ周波数でノイズデカップラーが試料を強く照射する。プロトンスピンの急速な変化は有効な異種核デカップリングを作り、核オーバーハウザー効果によって炭素シグナル強度は増加し、それぞれの非等価な炭素は単一のピークを与えるようにスペクトルを単純化する。より大きなスピン-格子緩和時間を持つ炭素原子もあれば、より弱いNOE増強を持つ炭素もあるため、炭素シグナルの相対強度は信頼できない。 ゲーテッド(gated)デカップリングでは、ノイズデカップラーは自由誘導減衰の早い段階で閉じられる(gated on)がパルスを照射する.までの待ち時間(pulse delay)のために開かれる(gated off)。これはNOE増強を大きく妨げ、全体の感度が半分から3分の2に落ちることを代償として、個々の13Cピークの強度の積分による意味がある比較を可能にする。 オフレゾナンスデカップリングでは、ノイズデカップラーはプロトンの共鳴周波数の1000–2000 Hz高磁場また2000–3000 Hz低磁場で試料に照射する。これは13C原子のすぐ隣りにあるプロトンとの間のカップリングを維持するが、ほとんどは取り除かれるため、結合したプロトンにつき1つの余分なピークを持つ狭い多重線として13Cシグナルを観測することが可能となる(結合したメチレンプロトンが非等価でない限り。この場合はダブレットのペアが観測される)。
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