オブジェクトライブラリ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/01 06:34 UTC 版)
「ライブラリ」の記事における「オブジェクトライブラリ」の解説
1980年代終盤に開発された動的リンクは1990年代初期にはほとんどのOSで使用可能となった。ほぼ同時期にオブジェクト指向プログラミング (OOP) が市場に出回り始めた。OOPは従来のライブラリが提供していなかった情報を必要とした。それは、あるオブジェクトが依存しているオブジェクトのリストである。これはOOPの継承という機能の副作用であり、あるメソッドの完全な定義は複数の場所に分散して配置される可能性がある。これは単純化すればライブラリ間の依存関係ということになるが、真のOOPシステムではコンパイル時には依存関係が明らかでなく、そのために様々な解決方法が登場した。 同じころ、多層構造のシステムの考え方も出てきた。デスクトップコンピュータ上の表示プログラムが汎用コンピュータ(汎用機)やミニコンピュータの記憶装置や演算機能を利用するものである。例えばGUIベースのコンピュータがミニコンピュータにメッセージを送り、表示すべき膨大なデータの一部を得るというものが考えられた。RPCは既に使われていたが、それは標準化されていなかった。 主要な汎用機およびミニコンメーカーがこれら二つの問題に関してプロジェクトを結成し、どこでも使えるOOPライブラリ形式を開発した。このようなシステムをオブジェクト・ライブラリ(英: object library)と呼んだり、リモートアクセスが可能ならば分散オブジェクト(英: distributed objects)と呼ぶ。マイクロソフトのCOMは分散機能のないオブジェクトライブラリであり、DCOMはリモートアクセスを可能としたバージョンである。 一時期、オブジェクトライブラリはプログラミングの世界の「次の大きな出来事」とされた。様々なシステムが開発され競争も激化した。例をあげると、IBMのSOM/DSOM、サン・マイクロシステムズのDOE、NeXTのPDO、DECの ObjectBroker、マイクロソフトのComponent Object Model (COM/DCOM)、そして様々なCORBAベースのシステムがある。 結局、OOPライブラリは次の大きな出来事ではなかった。マイクロソフトのCOMとNeXT(現在はApple)のPDO以外は、ほとんど使われることも無くなったのである。 Javaではオブジェクトライブラリとして主にJARが使われている。その中には(圧縮された)クラスのバイトコード形式が格納されていて、Java仮想マシンや特殊なクラスローダーがそれをロードする。
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