オオキバハリアリ亜属(M. gulosa species group)
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グローサキバハリアリ(Myrmecia gulosa) 英名にはGiant bulldog ant、Red bulldog antなどがある。働きアリの体長は15〜26mm。25mmを超えるインチ・アンツの一つ。キバハリアリ亜科全体の基準種であると同時に、オオキバハリアリ亜属の基準種に位置づけられる。 首都キャンベラやシドニーといった大都市周辺で最も普通にみられるキバハリアリである。また、多摩動物公園昆虫園で飼育展示されたり、ペットとして時折輸入されたりもするなど、日本国内で姿を見る機会の比較的多い種である。黒い腹端以外の体色は鮮やかな赤褐色。 gulosaはtarsataに比べると攻撃性が低いと報告されている。 広大な巣穴を掘り、出入り口には直径20〜50cmもの盛り土が生じる。出入り口の直径はいびつで大きく、5cm前後。巣穴のポータルが大きくいびつなのは、大顎が長いために掘削作業に器用さを欠くアリ共通の特徴である。 大コロニーの個体数は1000〜2000頭に達する。羽アリの出現は1〜2月。ただし、雄が膨大な数誕生するのに対し、女王は10〜20頭程度しか生じない。 Myrmecia pavida 働きアリの体長は19〜22mm。女王は25mm。オーストラリア南部〜西部に分布。 形態、色彩共にgulosaによく似ており、また時折日本国内にペットとして輸入されるのも同様である。 Myrmecia brevinoda 体長が働きアリでは体長37mm、女王では40mmに達する世界最大のキバハリアリ。体の大半は暗赤色で、腹部のみ黒く、その点で本種もgulosaに似る。 クイーンズランド、ニューサウスウェールズ、ヴィクトリア、そして首都圏といった東オーストラリア州の特産種である。 タルサータキバハリアリ(Myrmecia tarsata) 働きアリの体長は22〜24mm。体色は全身が極細かい点刻の密生する艶のない黒褐色。1988年、グローサキバハリアリよりも先行して多摩動物公園昆虫園でコロニーの飼育展示がされ、繁殖にも成功している。 属内でも非常に凶暴な種類で、最も飼育しにくいキバハリアリだという。飼育下ではショウジョウバエ、コオロギ若齢幼虫、馬肉片等が餌として利用できたという。 シミルマキバハリアリ(Myrmecia simillima) 働きアリの体長は19〜23mm。女王アリはやや大きく22〜24mmである。 ニューサウスウェールズとヴィクトリアの沿岸部と内陸部で分布が旺盛である。 1995年から多摩動物公園昆虫園で飼育展示された。 Myrmecia regularis 雌の体長は10〜20mm。西オーストラリア州固有種。本種の巣内には小型のカエル(Pseudophryne nichollis)が寄生し幼虫を補食しており、彼らは毒針で殺されないための何らかの防御手段を持っていると考えられている。 Myrmecia mjobergi 働きアリの体長は17〜27mm。女王は30mmを超える。 キバハリアリ亜科中唯一の樹上性種。大型シダ類の非常な高所にコロニーを構えるため、発見や観察が非常に困難である。人の目に触れるのは、コロニーが強風などで偶然地表に落下した場合が多い。 クイーンズランド州に多産し、他州にもいくらか分布する。
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