オウム口封じ説
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被害者の村井が毒劇物の生産や一連のオウム真理教事件の中核を担う立場だったとみられることから、オウム真理教内部による口封じではないかという見方が非常に強かったものの、刑事事件としてはオウム真理教の関与はないと認定されている。 地下鉄サリン事件後、村井はサリン製造疑惑を否定するため頻繁にテレビ出演をしていた。1995年4月17日放送の「THEワイド」で村井は生物化学兵器専門家のカイル・オルソンと討論をしているが、放送中にサリン製造に必要なハステロイの存在を明かしてしまい、厳しく追及される一幕があった。司会を務めていた草野仁はこの失言が原因で刺殺されたのではと感じたという。同年4月22日、村井は日本テレビの特別番組「スーパースペシャル95Xデー間近?オウム帝国とサリン事件」に再びオルソンが参加することを知り「オルソン氏と一緒なら出ない」と出演を拒否している。 村井がサリンプラントの言い訳に手こずっているのを見かねた麻原が、早川紀代秀らを集め会議を開き、「ポアもやむなし」と指示したとする証言がある。 村井の死によって、村井が知りうるオウム事件に関する供述が聞き出せなくなり、一連のオウム事件の解明を遠のかせることになった。村井刺殺事件によって裏組織による他の教団幹部への殺害による口封じが懸念されたため、警察による教団幹部への別件逮捕が一層進められた。 井上嘉浩は逮捕後、村井刺殺について「松本智津夫氏が弟子を切り捨てる方向に動いていると思った。僕も内心、殺されるのではと思っていた」と供述している。また井上に対し法廷で麻原は「何のために村井が死んだのか考えろ」と意味深な発言をしている。 麻原は『巨聖逝く 悲劇の天才科学者 村井秀夫』で村井の霊と対話したと主張し、村井の死を自身の超能力の誇示と喧伝に利用している。 麻原の娘である松本麗華は当時の村井の警備担当信者から、刺殺の瞬間の直前にオウム信者から羽交い締めされ、村井を守れなかったとの話を聞かされた。ただし、松本麗華はオウムが殺したという説とは逆に、村井が「全部自分の指示で尊師は関係無い」と証言するのを防ぐため殺されたとのではとも考えている。 1995年5月2日放送の「ザ・フレッシュ!」では村井秀夫刺殺事件の映像を分析する特集が流れ、二人の信者が村井の逃げ場をさえぎる動きをしていた疑いがある、と報道した。映像では眼鏡をかけたチェックのワイシャツの信者が、腕を伸ばして村井の進路を遮り、警護していた信者を羽交い締めする様子が記録されているが、裁判で検証されることはなかった。 村井が自分から口封じしたという説もある。元教団幹部の中川智正や野田成人は個人的な見解として、村井ならやりかねないと述べている。ただし、野田はブログのコメントで「憶測に過ぎない」と付け足している。また、野田は北朝鮮関係の陰謀説は週刊誌が儲けるためのガセネタにすぎないと主張している。 伊藤芳朗は2018年7月6日放送の「金曜プレミアム」で村井の口の軽さを指摘し、事件は教団内部の犯行としか考えられないと断言している。
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