エドセル・コメット
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 07:28 UTC 版)
詳細は「en:1960 Ford」および「en:Mercury Comet」を参照 1960年代初頭、ファルコンが好調な販売を続ける中でMEL部門はファルコンをリデザインしたエドセル・ブランドのコンパクトカーの発売を計画した。チーフデザイナーには若手のロビン・B・ジョーンズを起用し、「ベビー・エドセル」のコードネームが与えられた。ジョーンズは単にファルコンのフェイスリフトを行うのではなく、全長をより長く、よりスタイリッシュにする事を指向し、1960年式サンダーバードのデザインからも着想を得て、傾斜したテールフィンと猫の目の様な形状のテールランプ、ロイ・ブラウンの原型デザインに近い細長いホースカラー・グリルを基調としたフロントフェイスを設計した。ベビー・エドセルはアーネスト・ブリーチにより「コメット」と命名されたが、1960年モデルとして開発されていたエドセル・コメットは、突如としてブランド変更されコメット(英語版)として、リンカーン-マーキュリー部門のディーラーに車種名にリンカーン、マーキュリーのいずれのブランド名も掲げない独立車種として割り当てられた。1960年代の新しい消費者需要を捉えていたものの、それまでのアメリカ車と比べるとチープな外見である事は否めなかったフォード・ファルコンを正調にデコレーションしたコメットは、直ちに大きな成功を収め、発売初年度だけでエドセル部門の3年間の総生産台数よりも多くの販売台数を記録した。リンカーン-マーキュリー部門で販売されたコメットのスタイリングは、エドセル・コメットのフロントフェイスからホースカラー・グリルの意匠を取り除いただけのものであったが、随所にエドセル・ファミリーの1台である事を暗示する意匠が施されたものであった。テールフィンの傾斜とテールランプのレンズ形状(エドセルの部品である事を示す"E"のアルファベットがエンボス加工で書き込まれていた)は1960年式エドセルによく似ており、インストルメント・クラスターの形状も1959年式エドセルとよく似ていた。何よりも、コメットの純正マスターキーやディーラーの店頭バナーのロゴマークはエドセルのような形状で、Eのロゴからセンターバーを取り除いてCのシェイプを形成したものであった。また、コメットのステーションワゴンには木目調外装モデルが存在し、これにはエドセル製ステーションワゴンの名を引き継いだ、ヴィレジャーのサブネームが与えられた。 1962年、フォード・モーターは正式にコメットをマーキュリーブランドに加え、コメットは新たにマーキュリー・コメットの名が与えられた。1962年式はEのアルファベットが刻印された斜め1灯式テールランプは、後述のマーキュリー・ミティアに類似したデザインの丸形連装テールランプに置き換えられ、楕円形の窓を持つ補助メーターを備えたメータークラスターのデザインも改められ、エドセルの系譜はこの時デザインの面からも完全に終焉した。1960年と1961年式にはマーキュリーの名前はどこにも書かれていない。それ以前の1960年及び1961年モデルにはマーキュリーを含めたブランドネームがどこにも示されておらず、各部のデザインもエドセルの各年式との共通項が多く現れる事から、エドセル・ブランドの最後の車として含められる事がある。
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