エストロゲン分泌の有無に注目した分類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/16 15:07 UTC 版)
「無月経」の記事における「エストロゲン分泌の有無に注目した分類」の解説
クッパーマン方式によって診断される。治療法に直結するので扱いやすい分類である。 正常な月経周期では、月経の開始により前周期の子宮内膜が排出され始めた直後から、次の排卵に向けて徐々に卵胞が育ち始めて卵胞ホルモン(エストロゲン)を分泌し、月経終了後の子宮内膜を再び増殖させていく。そして、排卵が起こると卵巣に残った卵胞が黄体に変化し、妊娠に適した状態へ子宮内膜を成熟させる黄体ホルモン(ゲスターゲン)の分泌も加わる。一定期間が経過しても妊娠が成立していなければ、黄体の寿命は尽きて両ホルモンの分泌が低下し、子宮内膜の剥落(=月経)が始まる。すなわちこの診断では、無排卵で正常な黄体期が巡って来ないために内膜のリセットを始める契機を得られずにいるだけか、生理周期の最初から既に正常な内膜の肥育が行われていないかのを区別を調べる。 プロゲステロン投与としてはプロルトン50mgの筋注後3〜6日ほど、またはゲスターゲン剤(ルトラール2mg 2T2×またはデュファストン 5mg 2T2×)を5日間内服し2〜7日で3日以上持続持続する消退出血を調べる。消退出血があれば第一度無月経である。これをゲスターゲンテストという。ゲスターゲンテストで陰性であった場合はエストロゲン・ゲスターゲンテストを行う。これはエストロゲン製剤を10日間内服したのちエストロゲン・ゲスターゲン合剤を10日間内服(プレマリン0.625mg 2T2× 10日内服後、ノアルテンD 1T1× 11日内服)し2〜4日で3日間持続する消退出血があるかどうかを調べる試験である。 第一度無月経 エストロゲンが分泌されているもの。内膜が増殖しているのでプロゲステロン投与で消退出血が起こる。 第二度無月経 エストロゲンが分泌されていないもの。内膜は増殖していないのでプロゲステロン投与では消退出血は認められず、エストロゲンとプロゲステロンの投与で消退出血が起こる。無月経の期間が長いほど第二度無月経に陥っている割合も高くなり、無治療のまま長年放置しておくと子宮の退縮や若年閉経を招く場合もある。また、体重減少性無月経は、短期間でも比較的第二度無月経に至りやすい傾向がある。 この試験を行うことで治療法は決定できる。ホルモン補充療法(無月経に対して)の治療は第一度無月経ではホルムストローム療法を行う。これはプロゲステロンの周期的な投与であり、消退出血後、ルトラール2mg 2T2×またはデュファストン 5mg 2T2×の5日間の内服を繰り返していくというものである。第二度無月経のホルモン補充療法として知られるカウフマン療法は消退出血後5日目からプレマリン0.625mg 2T2× 10日内服後、ノアルテンD 1T1× 11日内服を繰り返すというものになる。挙児希望の場合は月経の誘発だけでは不十分であり排卵誘発を行う。排卵誘発は上記よりも副作用も強く、高価であることに注意する。排卵誘発はあくまでも不妊症の治療であり、無月経の治療ではない。
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