エクスパンション・ドラフトとは? わかりやすく解説

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エクスパンション・ドラフト

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/22 15:41 UTC 版)

エクスパンション・ドラフト (expansion draft) または拡張ドラフトは、プロスポーツにおいて、球団増設が行われた場合、新規参入チームにおける戦力確保のために行う既存チーム所属選手の分配システムである。「ドラフト」と付くものの、いわゆるドラフト会議(新人選択会議)とは異なる。

分配ドラフトと称される場合もあるが[1][2]、日本においては球団数の拡張を伴わないケース(例として、日本プロ野球におけるプロ野球再編問題 (2004年))でもこの用語が使用されるため、必ずしもエクスパンション・ドラフトと同義ではない。

日本でのドラフト

日本では、bjリーグや四国アイランドリーグ(現・四国アイランドリーグplus)、ベースボール・チャレンジ・リーグで、チーム数増加に伴い行われている。

bjリーグ

  • まず、既存球団はプロテクトする選手を選定し、リストを提出する。
    • 外国人選手(外国籍かつ外国在住者)、アーリーエントリー適用選手及びFA権を行使する選手はエクスパンション・ドラフトの対象外であり、プロテクトも不可。
    • プロテクトされた選手については、所属球団とA契約を結ばなければならない(トレードによる仮保有権の譲渡は可)。また、基準値(2006年は共通で3名。2007年以降はプレイオフ出場回数に応じて決められる。)を超えてプロテクトした球団は、ドラフト会議において超過した人数分指名巡が後になる。2012年からはドラフトの制度が変更されたのに伴い、各球団ともプロテクトは3名までとなった。
  • 次に、ドラフト会議と合わせてエクスパンション・ドラフトが行われ、新規参入球団がプロテクトされなかった対象選手から指名する。指名順は抽選で決定する。2012年からは各球団の指名は3名までとなった。
  • 新規参入球団に指名されなかった選手については、元の球団が1週間以内に仮保有権を保持するかどうかを判断し、リストとして提出。保持されない場合は他球団との交渉が可能になる。
  • 既存球団の解散・休止・他連盟転籍があった場合、当該球団の選手は当初エクスパンション・ドラフトの対象となっていたが、2013年からはFA扱いとなるため除外。

2006年

2006年富山グラウジーズ高松ファイブアローズの2球団が加盟したが、両球団ともエクスパンション・ドラフトでは1人も指名しなかった。

なお、エクスパンション・ドラフトではないものの、大阪エヴェッサのプロテクトから外れた竹田智史が高松に移籍した。

2007年

2007年はライジング福岡琉球ゴールデンキングス(以下沖縄)の2球団が加盟。福岡は高松のディアン・ティエルノ・セイデゥ・ヌロ(契約には至らず)と富山の陰承民を指名。沖縄は1人も指名しなかった。

福岡はさらに母体クラブである福岡BBボーイズの川面剛とプロテクト契約を交わした。

2008年

2008年は浜松・東三河フェニックス滋賀レイクスターズの2球団が加盟。JBLから転籍した浜松はエクスパンション・ドラフトでは1人も指名せず6人をプロテクト。滋賀は新潟アルビレックスBB藤原隆充、大阪の佐藤浩貴、富山の小川伸也を指名した。

2009年

2009年は京都ハンナリーズ1球団のみ加盟。沖縄の澤岻直人東京アパッチ岩佐潤を指名した。

2010年

2010年は秋田ノーザンハピネッツ島根スサノオマジック宮崎シャイニングサンズの3球団が加盟。秋田は大阪の仲西淳と新潟の水町亮介、島根は東京アパッチ仲西翔自、宮崎は滋賀の小島佑太を指名。

2011年

2011年は岩手ビッグブルズ千葉ジェッツ横浜ビー・コルセアーズ信州ブレイブウォリアーズ(以下長野)の4球団が加盟。岩手は東京の板倉令奈、千葉は大分ヒートデビルズ佐藤博紀と東京の田中健介、長野は新潟の齋藤崇人をそれぞれ指名。横浜は一人も指名しなかった。

2012年

2012年は群馬クレインサンダーズ東京サンレーヴスの2球団が加盟。群馬は浜松の友利健哉と高松の堤啓士朗、東京は宮崎の伊藤拓郎、大阪の高田紘久、富山の加藤真をそれぞれ指名した。

2013年

2013年は青森ワッツバンビシャス奈良の2球団が加盟。青森は仙台の高岡大輔と岩手の澤口誠、奈良は埼玉の山城拓馬と滋賀の本多純平をそれぞれ指名した。

四国アイランドリーグ

2008年から福岡レッドワーブラーズ長崎セインツが加入するのに際して、2007年11月1日に「分配ドラフト」を実施し、福岡は西村悟徳島)ら10人、長崎は7人を指名した[1]。なお、この両球団はいずれもその後活動を休止したためその際に救済ドラフトが実施されており、角野雅俊(徳島→福岡)と國信貴裕(高知→福岡)はエクスパンション・ドラフトと救済ドラフトの両方で指名を受けている[3]

ベースボール・チャレンジ・リーグ

2014年・2016年・2018年・2019年の4回実施されており、地元出身者を対象とする「地元移籍枠」とそれ以外の「分配ドラフト指名」がある[4]。2024年に5回目が実施される[5]

2014年

2015年から福島ホープス武蔵ヒートベアーズが加入するのに際して2014年10月24日に実施し、福島は分配ドラフト指名のみで7人、武蔵は地元移籍枠で矢島陽平福井)ら3人と分配ドラフト指名で小林大誠富山)ら3人の合計6人を指名した[6]

2016年

2017年から栃木ゴールデンブレーブス滋賀ユナイテッドベースボールクラブが加入するのに際して2016年10月21日に実施し、栃木は分配ドラフト指名のみで吉田えり石川)ら5人、滋賀は地元枠移籍のみで西野颯(信濃)1人をそれぞれ指名した[2]

2018年

2019年から茨城アストロプラネッツが加入するのに際して、2018年10月30日に実施され、地元枠ではすでに選手兼任コーチの就任が発表されていた小野瀬将紀(福井)を含め3人、分配ドラフトで2人を指名した[7]

2019年

2020年から神奈川フューチャードリームスが加入するのに際して、2019年10月22日に実施され、地元枠は6人、分配ドラフトで3人が指名された(そのほか、ドラフト外での移籍者4人も決定)[8]

2024年

2025年から山梨ファイアーウィンズが加入するのに際して、2024年10月29日に実施される予定[5]

アメリカ(及びカナダ)でのドラフト

MLB

NBA

NFL

NHL

MLS

韓国でのドラフト

KBO

移籍選手は高昌成趙煐勲牟昌民、金泰君、李太陽、金宗鎬、李承浩、宋臣永。

移籍選手は鄭大鉉、李大炯金相賢、裵秉玉、張施晥、鄭炫、龍德韓、尹根永、李星民。

脚注

  1. ^ a b 分配ドラフトによる福岡・長崎球団への移籍選手について - 四国アイランドリーグ情報ブログ(2007年11月2日)
  2. ^ a b 分配ドラフト結果のお知らせ - ベースボール・チャレンジ・リーグ(2016年10月21日)
  3. ^ 福岡球団所属選手救済ドラフトの結果について - 四国・九州アイランドリーグ情報ブログ(2009年11月2日)。角野は指名された徳島に入団したが、國信は指名された香川と合意に至らず、個別に徳島に入団している。
  4. ^ 分配ドラフト開催のお知らせ - ベースボール・チャレンジ・リーグ(2016年10月12日)
  5. ^ a b 分配ドラフト会議開催のお知らせ - ベースボール・チャレンジ・リーグ(2024年10月22日)2024年10月23日閲覧。
  6. ^ 分配ドラフト結果のお知らせ - 富山サンダーバーズニュース(2014年10月24日)
  7. ^ 分配ドラフト結果のお知らせ - ベースボール・チャレンジ・リーグ(2018年10月30日)
  8. ^ 分配ドラフト会議結果のお知らせ - ベースボール・チャレンジ・リーグ(2019年10月22日)
  9. ^ Philadelphia Union Expansion Draft Date Set
  10. ^ 2016 MLS Expansion Draft protected and unprotected lists”. MLSsoccer.com. 12 December 2016閲覧。
  11. ^ 2017 MLS Expansion Draft set for December 12; LAFC to have five picks”. MLSsoccer.com. 15 November 2017閲覧。
  12. ^ 2018 MLS offseason calendar for player moves announced”. MLSsoccer.com. Major League Soccer (November 9, 2018). November 28, 2018閲覧。
  13. ^ Expansion Draft details for Inter Miami, Nashville SC set as they enter in 2020”. MLSsoccer.com. Major League Soccer (September 19, 2019). September 19, 2019閲覧。
  14. ^ 2020 MLS Expansion Draft: Official list of players eligible for selection”. mlssoccer.com. MLS (December 14, 2020). December 14, 2020閲覧。
  15. ^ 2021 Expansion Draft results: Charlotte FC makes picks ahead of inaugural season”. mlssoccer.com (December 14, 2021). December 14, 2021閲覧。

関連項目


エクスパンションドラフト

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/04 01:23 UTC 版)

1968年のメジャーリーグベースボール」の記事における「エクスパンションドラフト」の解説

前回エクスパンション時に行われた既存球団から新設球団選手供出するためのエクスパンションドラフトが10月14日10月15日開催された。まず既存球団支配下選手40名のうち15名をプロテクトして指名対象から外し、両リーグ新設球団は、同一リーグ内の既存球団8チームから5名(1球団からは1名)を指名第1ラウンド)、次に既存球団は3名をプロテクトし、新設球団は5名を指名する第2ラウンド)。これを繰り返して第6ラウンドまで行い、計30名を指名したロイヤルズとパイロッツは選手1人当たり175,000ドル合計5,250,000ドルパドレスとエクスポズは同200,00ドル合計6,000,000ドルを元の球団支払ったこの他フランチャイズ権利金としてアメリカンリーグ10万ドルナショナルリーグ40ドル連盟支払い、それに加えて選手年金基金リーグ基金などの分担金支払いロイヤルズとパイロッツはそれぞれ総額600ドル、エクスポズとパドレスそれぞれ総額700ドル用意したと言われ選手供出対価として既存球団にはアメリカンリーグでは平均50ドルナショナルリーグでは平均60ドル収入であった

※この「エクスパンションドラフト」の解説は、「1968年のメジャーリーグベースボール」の解説の一部です。
「エクスパンションドラフト」を含む「1968年のメジャーリーグベースボール」の記事については、「1968年のメジャーリーグベースボール」の概要を参照ください。

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