ウスバヤブニッケイとは? わかりやすく解説

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ヤブニッケイ

(ウスバヤブニッケイ から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/07 21:53 UTC 版)

ヤブニッケイ
ヤブニッケイ
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : モクレン類 Magnoliids
: クスノキ目 Laurales
: クスノキ科 Lauraceae
: クスノキ属 Cinnamomum
: ヤブニッケイ C. yabunikkei
学名
Cinnamomum yabunikkei H.Ohba (2006)[1]
シノニム
和名
ヤブニッケイ(藪肉桂、薮肉桂)、マツラニッケイ、クスタブ、クロダモ
英名
Japanese Cinnamon

ヤブニッケイ(藪肉桂[9]・薮肉桂、学名: Cinnamomum yabunikkei)は、クスノキ科クスノキ属常緑高木の一種。別名マツラニッケイ(松浦肉桂)[10]、クスタブ[10]、クロダモ[10]ウスバヤブニッケイ[1]ナンジャモドキ[1]。山地などに生えるが、庭木などにもされる。

分布・生育環境など

日本本州福島県以南・北陸地方以西[9])、四国九州沖縄朝鮮済州島中国に分布するとされるが[11]、日本における自然分布は、近畿以南から沖縄の範囲までと言われている[10]

乾燥に強く、暖地の野山、雑木林にふつうに見られる[11][12]。山地に生えるが、特に海の近くに多く生える[9]シイ林やタブ林の二次林の構成種として重要である。なお、似たような環境に生育するもので、よく似たものにシロダモがある。ヤブニッケイの別名にクロダモがあり、それと対比させたものと思われる[要出典]

特徴

常緑広葉樹[10]高木で、高さは10 - 20メートル (m) になる[9]樹皮は灰黒色から茶褐色で滑らか[9]。枝は黄緑色で毛はない[9]

はほぼ対生につくが、ややずれていたり、互生に見えるものもあり、亜対生と言われる。葉身は長さ6 - 12センチメートル (cm) の長楕円形で芳香があり[11][10]、さほど厚くはないが、革質でごわごわしており、やや波打っていることが多い。深緑色で、表面にはつやが強く、はっきりとした3本の葉脈が白っぽく透けて見え、2本の側脈は肩のあたりで消える[11][10]クスノキの葉にも似ているが、葉脈腋の突起がないので見分けられる[9]。葉の形等に変異が多く、分類は複雑である。沖縄ではシバニッケイやマルバニッケイとの雑種らしいものが知られている。

花期は6 - 7月[11]。枝先の葉腋から長い柄を出して、散形状に淡黄緑色の小花をまばらに数個付ける[10]。花被は筒型で、上部は6裂する[10]果実は長さ約15ミリメートル (mm)で、10 - 11月になると黒っぽく熟す[11][10]

冬芽は卵形から長卵形で、芽鱗は赤褐色でつやがある[9]。冬芽もクスノキに似ているが、やや稜がある[9]

利用

樹木は庭木などにされ、花や果実は目立たないが、生長が良く葉がよく茂るため、隣地との目隠しを目的とした植栽に向いている[12]。また、潮風にもやや耐えるため、海から少し離れた場所での防風植栽としても期待されている[12]。植栽適期は、3月下旬 - 4月、6月下旬 - 7月中旬、9月とされる[10]

材は建築材、器具材として使われる。葉や樹皮は薬用に使われ、種子からは香油を取ることができる[11]。また、根皮などに香気があるがニッケイよりは劣る。

脚注

  1. ^ a b c 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Cinnamomum yabunikkei H.Ohba ヤブニッケイ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年7月8日閲覧。 (2006)
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Cinnamomum tenuifolium Sugim. ヤブニッケイ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年7月8日閲覧。
  3. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Cinnamomum tenuifolium (Makino) Sugim. f. nervosum (Meisn.) H.Hara ヤブニッケイ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年7月8日閲覧。
  4. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Cinnamomum pedunculatum Nees ヤブニッケイ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年7月8日閲覧。
  5. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Cinnamomum japonicum auct. non Siebold ヤブニッケイ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年7月8日閲覧。
  6. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Cinnamomum japonicum Siebold ex Nakai f. tenuifolium (Makino) Sugim. ヤブニッケイ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年7月8日閲覧。
  7. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Cinnamomum japonicum Siebold ex Nakai ヤブニッケイ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年7月8日閲覧。
  8. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Cinnamomum insularimontanum auct. non Hayata”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年7月8日閲覧。
  9. ^ a b c d e f g h i 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 235
  10. ^ a b c d e f g h i j k 山﨑誠子 2019, p. 88.
  11. ^ a b c d e f g 平野隆久監修 永岡書店編 1997, p. 64.
  12. ^ a b c 山﨑誠子 2019, p. 89.

参考文献

関連項目

外部リンク




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