ウィキペディアの構想
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/23 16:47 UTC 版)
「ウィキペディアの歴史」の記事における「ウィキペディアの構想」の解説
ウィキペディアは本来、ジミー・ウェールズが創設した「ヌーペディア(Nupedia)」にコンテンツを供給するプロジェクトとして着想されたものだった。ヌーペディアはウィキペディアの前身となった無料インターネット百科事典プロジェクトであり、ウェールズとティム・シェルおよびマイケル・デイヴィスが所有するウェブ広告企業「ボミス(Bomis)」が資金を提供していた。ヌーペディアの記事は高度な専門知識を持つボランティア編集者による執筆と、数段階の複雑な査読プロセスによって初めて成立するものだった。プロジェクトに関心を抱く編集者のメーリングリストがあり、フルタイムの編集主幹として哲学の博士課程に在籍するラリー・サンガーが雇用されていたものの、その記事作成ペースは極めて遅く、最初の年に完成した記事は12本に過ぎなかった。 記事作りのペースを速めるため、ウェールズとサンガーはさまざまな方法を模索した。「ウィキ(wiki)」を利用するというアイディアは、サンガーとベン・コヴィッツが交わした会話から生まれたものだった。コンピュータプログラマーであるコヴィッツは、ウォード・カニンガムが開発した史上初のウィキである「WikiWikiWeb」の常連利用者だった。2001年1月2日火曜日、夕食の席でコヴィッツは、サンガーに当時まだ一般的でなかったウィキの概念について説明した。ウィキがプラットフォームに適していると判断したサンガーはヌーペディアのメーリングリスト上で、コンテンツをヌーペディアへ供給するプロジェクトとして「UseModWiki」を使ったウィキの新設を提案した。この「Let's make a wiki」と題するメールの中で、サンガーは以下のように述べた。 これは決してふざけた提案ではない。これはヌーペディアにちょっとした機能を追加するためのアイディアだ。ジミー・ウェールズはこのアイディアが多くの人を不快にさせると考えているが、私はそうは思わない。ヌーペディアがウィキを利用することは、コンテンツを生み出すにあたって最高に「オープン」で、かつシンプルな選択だと思っている。我々はいつもヌーペディアに代わる、よりシンプルでオープンなプロジェクトについてのアイディアを話し合ってきた。ウィキはほとんど一瞬で立ち上げることができる上に、メンテナンスも最小限で済み、全般的に低リスクであるように見える。そしてウィキにはコンテンツ供給源として大きな可能性がある。私が判断する限りでは、ウィキには欠点がほとんどないと言える。 —ラリー・サンガー ジミー・ウェールズはウィキ導入の発案者がサンガーであることを否定している。当初のウェールズは、2001年10月に「ウィキソフトウェアの活用はラリー(サンガー)が持っていたアイディアだった」と明言していたが、サンガーのプロジェクト離脱から3年が経過した2005年時点のウェールズは、彼がウィキペディアで果たした役割に異議を唱えるようになった。2005年12月には、ウィキ導入の構想はボミスの従業員だったジェレミー・ローゼンフェルド(Jeremy Rosenfeld)から得たものだと述べている』。」。
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