イージス艦の初海外派遣
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 07:05 UTC 版)
「自衛隊インド洋派遣」の記事における「イージス艦の初海外派遣」の解説
2002年(平成14年)には、イージス艦「きりしま」が初めて派遣された。イージス艦の海外派遣については、国会の場で諸外国の警戒感を呼び起こすとして反対の声が強かったが、「艦内の生活環境」を理由に派遣されることとなった。この問題について元防衛官僚の太田述正は「日本政府は、補給艦派遣をダシにして護衛艦をインド洋に派遣している」と指摘している。 一つの説として、モルディブ南方のインド洋にイギリス領チャゴス諸島があり、チャゴス諸島ディエゴガルシア島にはアメリカ空軍が使用している軍事基地がある。ディエゴガルシア基地は、米英軍にとって中東有事における重要な出撃基地であり、実際にアフガニスタン侵攻とイラク戦争においても使用された。当然、米英軍に敵対する勢力のターゲットになりやすい基地だが、作戦域の後方にあり、米英軍の艦船を周辺海域に常駐させる余裕がないため、補給艦の護衛という名目でイージス艦を派遣し、補給艦の護衛の傍らで、ディエゴガルシア島の上空及び周辺部の監視を行ったというものである。その事を示すかのように、イラク戦争が発生した2002年から2003年にかけてと、2004年には年間を通じてイージス艦がインド洋に派遣されている。もちろん、海上自衛隊は派遣の目的は給油活動のためとしており、詳しい派遣区域についての説明もしていない。 政府は、イージス艦が自衛隊の任務ために主体的に収集した情報をアメリカ等に提供することがあったとしても、それは「一般的な情報提供」にとどまるものであり、武力行使との一体化とはならず、問題はないとしている。イージス艦の派遣自体は、指揮通信・司令部機能の優れた艦としてヘリコプター搭載護衛艦4隻(はるな型護衛艦・しらね型護衛艦)だけでは派遣のローテーションが厳しく、イージス艦(こんごう型護衛艦4隻)はこの機能が優れているためであると説明している。 なお、マスコミによるイージス艦のイメージが先行し、あたかも特別な護衛艦のように思われがちではあるが、長射程の対空ミサイルを装備し、高性能レーダーなどイージスシステムにより同時に多数の対空目標に対処する能力を有しているのみで、その他の能力は汎用護衛艦と大きな違いはない。
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