インディアンとスローフード
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/18 09:14 UTC 版)
「ミネソタ州」の記事における「インディアンとスローフード」の解説
インディアンがすべて保留地に囲い込まれた19世紀末から、合衆国政府はインディアンから農地や狩り場を奪って狩猟や漁猟を禁止し、また「インディアン寄宿学校」で伝統食文化を奪った。これと並行して「保留地への年金」として、小麦粉、砂糖、ラード、粉乳、乾燥豆、コーヒーなどの白人式の高カロリー食糧を支給した。これらの支給品に生鮮野菜などはなく、すべて缶詰や乾燥食品ばかりであり、栄養学的にも大変偏ったものだった。見慣れない「袋」を支給されたインディアンたちは当初、中身の小麦粉などを食べ物と思わずに捨ててしまい、袋を服に仕立てていたほどだった。こうして20世紀に入る頃には、食生活を根本から変えさせられたインディアンたちの間で、脂で揚げて蜂蜜をかけた「揚げパン」などは、すっかり彼らの「伝統食」にとって代わってしまった。 第二次大戦が終わると、食糧生産の過剰もあいまって、インディアンやエスキモーへの食糧支給品はさらに高カロリー化し、アリゾナ州のピマ族などは糖尿病罹病率が全米の白人の19倍という高確率となり、「世界一肥満の多い民族」となってしまった。インディアン部族の医療費は年次高まり部族を悩ませる一方であり、またこの肥満の問題は今やインディアンやエスキモーだけでなく、全米の低所得者家庭に見られる国家的病症の様相を呈している。 AIMの創設者で、同団体の指導者を務めたオジブワ族のデニス・バンクスは、1990年代から故郷のミネソタ州の「リーチ湖畔インディアン保留地」で、地元の食材を使った伝統食の復興運動に取り組んでいる。バンクスはオジブワ族の伝統食材としてのマコモ、カエデ蜜を部族の特産品とし、また「バッファロー牧場」で低カロリー食品としてのバッファロー肉を生産、インディアン茶(ハーブ茶)などと併せてブランド化している。これらの取組みは世界的なスローフードの観点から注目され、リリース商品は日本にも及んでいる。
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