インディアンと煙草
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 19:20 UTC 版)
「ネイティブ・アメリカン」の記事における「インディアンと煙草」の解説
インディアンにとって、煙草の葉は神聖な清めの神具であり、またパイプも単なる喫煙具ではなく、どちらもすべての儀式に欠かせない特別な存在である。どんな部族でも儀式の際には、セージや杉の葉などと合わせ、煙草の葉による清めが行われ、「ピースパイプ」または「メディスンパイプ」と呼ばれる聖なるパイプを用いた喫煙が行われる。パイプは天上の精霊との通信役を担い、タバコの煙はその媒体の役目をする。どの部族もたいてい、父祖から伝わる神聖なパイプを保持している。 パイプはパスポートの役目も持っており、友好の意思を表す。インディアンでも非インディアンでも、ピースパイプを回し飲む際に、約した言葉を違えることは絶対に許されない。サンディア・プエブロ族とアパッチ族、ナバホ族、コマンチ族が18世紀に結んだ和平の儀式では、回し飲みした煙草が土に埋められた。以後サンディアと彼らとの争いは一切行われていない。 20世紀のスー族のメディスンマンでレオナルド・クロウドッグの父、ヘンリー・クロウドッグは、土産物屋でインディアンのパイプが売られていることの是非について問われた際に、これを肯定し、「インディアンにとってのパイプは、白人にとっての聖書と同じだ」と述べている。 スー族のインディアンたちはミネソタ州のパイプストーン国定記念物からしか採れない赤い石(パイプストーン)でパイプの火皿を作る。この鉱物は、画家ジョージ・カトリンに因んで「カトリナイト(Catlinite)」と名付けられている。スー族の伝承では、カトリナイトは先祖の血で出来ているとされる。聖なるパイプの火皿の素材となるカトリナイトの採石場は全ての部族にとって中立の土地とされていた。長らく条約を破った白人による不法占拠が続いたが、現在ではスー族が占有権を持ち、ここでカトリナイトを採掘できるのはインディアンだけである。
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