イル=ド=フランスでのゴシック建築の発展とは? わかりやすく解説

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イル=ド=フランスでのゴシック建築の発展

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 09:27 UTC 版)

ゴシック建築」の記事における「イル=ド=フランスでのゴシック建築の発展」の解説

1130年サン=ドニ修道院シュジェール院長が、修道院付属聖堂(現在は大聖堂)の改築工事始めた。現在、3つの広間納めた前廊(西正面)と聖歌隊席を含めた一部現存している。最初に多数巡礼者のための大きな入り口造られたが、これは円柱束ねた支持支えられ尖頭リブ・ヴォールト空間分節しており、これがノルマンディー後期ロマネスクゴシック建築発展させたものになっている1140年着工し1144年完成した内陣は、後の大改修のためあまり残っていないが、放射状の祭室と方形の祭室を有するシュヴェで、前廊と同じく革新的なのだったらしい。しかし、サン=ドニ修道院付属聖堂あまりにも早熟した建築であり、12世紀後期になるまで比較小規模な教会でひっそりと真似られるだけであったサン=ドニと同じ頃(1130年頃から1164年)に建設されサンスサンテティエンヌ大聖堂は、周歩廊があるものの袖廊はなく、立面強弱というロマネス建築特有の構成持っている。ただし、六分ヴォールト3層わかれた身廊立面ゴシック建築要素持っており、これは以後ゴシック建築影響及ぼした12世紀後半になると、ブルゴーニュノルマンディーでは活発な建設活動が行われ、初期ゴシック建築発展促したが、これは個々独自性ロマネスク建築伝統阻害するものではなかった。ノワイヨンノートルダム大聖堂サンリスノートルダム大聖堂16世紀改築により当時造形はあまり残っていない)、トゥルネーノートルダム大聖堂、サン・ジェルメール・ド・フリなどは、それぞれロマネスク建築特有の構成を持つもの、あるいは逆にその伝的形態を全く失ったものもある。 これら初期ゴシック教会堂創建当時のまま残っているものはひとつもないが、12世紀後期の状態を比較的よく保存しているのは、ノワイヨンノートルダム大聖堂、そしてランノートルダム大聖堂パリノートルダム大聖堂である。 ノワイヨン大聖堂第一次世界大戦の後に大改装されたが、初期ゴシック構成を最もよく残している。平面ロマネスク建築伝統色濃く残しているが、身廊立面には初期ゴシック建築特徴である、アーケードギャラリー、トリフォリウム、クリアストーリという4層構造みられるこの手法によって、壁面から重苦しい感じ取り払われロマネスク建築とは異なった趣を見せている。 ランノートルダム大聖堂は、ノワイヨン大聖堂影響を受けたもので、中央部にトゥール・ランテルヌ(光塔)を頂く点はロマネスク建築影響残しているものの、身廊部分強弱繰り返すパターンが全く見られなくなり全ての円柱変わっている袖廊には、ロマネスク建築では滅多に採用されなかった円形窓採光用として用いられており、これが13世紀ゴシック建築特色となる「ばら窓」の発展第一段階となったラン大聖堂初期ゴシック建築まぎれもない傑作で、その形態ロレーヌラインラント地方広がり以後数十年に渡って影響与え続け、後にシャルトルノートルダム大聖堂引き継がれた。 パリノートルダム大聖堂は、しばしば初期ゴシック建築最高傑作であるとされる。この建築物は高い背を持つため、構造観点からベイ格間)が細分化されており、またクリアストーリ高窓)が高い位置にあるため、下部構造によって採光不足しているという欠点があった。しかし、平面二重の側廊を持つという特殊な形状で、さらに、はじめから薄い壁を意識して設計されたらしく、上部ヴォールト構造支えつつ周歩廊側廊を跨ぐ控え壁建設するためにフライング・バットレス飛び梁)を採用したほか、クリアストーリ下のトリフォリウムにあたる位置円形窓配置するなど、かなり野心的な設計が行われていた。後の改装によって証明できるものが失われてしまったため、当時フライング・バットレスどのようにけられていたかは必ずしも明確ではないが、この形態はすぐに決定的なものとなり、やがてパリ司教区ではこの聖堂影響受けた教会堂建設された。 イル=ド=フランスその周辺部の初期ゴシック建築は、シャンパーニュ広がったシャロン=アン=シャンパーニュノートルダムアンヴォー聖堂ランスサン・レミ大聖堂後陣は、初期ゴシック建築最終的な完成形態で、両者ともに後陣立面4層構造で、大きな開口を取ることによって鳥籠のような線的で軽快構造となっている。シャンパーニュでは、他にソワッソン大聖堂袖廊がこれと全く同じ構成有している。

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