アロサウルス属の種
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/22 16:51 UTC 版)
アロサウルス属にいくつの種が属すのかははっきりしていない。1988年以来アロサウルス属としてある程度の妥当性が認められてきたものには、フラギリス(A. fragilis 基準標本)、アンプレクサス(A. amplexus )、アトロクス(A. atrox )、エウロパエウス(A. europaeus )、ジムマドセニ(A. jimmadseni ただし正式には記載されていない)、マキシマス(A. maximus )、テンダグレンシス(A. tendagurensis )の合計7種がある。この中には骨の欠片しか見つかっていないようなものもある。また、これまでの歴史の中で少なくとも10種の恐竜がアロサウルスと同一種であったり、アロサウルスと混同されたりしてきた経緯がある。原初的なテタヌラ類に関する21世紀初頭のレビューによると、フラギリス、ジムマドセニ、テンダグレンシスのみが妥当な種として受け入れられており、アンプレクサスとアトロクスはフラギリスに編入され、エウロパエウスはまだ種として提唱されておらず、マキシマスはサウロファガナクスと同一であると言及されている。 アンプレクサス、アトロクス、フラギリス、ジムマドセニ、マキシマスはいずれもアメリカのコロラド州、モンタナ州、ニューメキシコ州、オクラホマ州、サウスダコタ州、ユタ州、ワイオミング州にかけてのジュラ紀後期のキメリジアン期(en:Kimmeridgian)からティトニアン期(en:Tithonian)に属するモリソン層から発見されている。この中でフラギリスは発掘数が最も多く(最低60個体)、研究も進んでいる。この次によく知られているのはアトロクスであり、1980年代からフラギリスとアトロクスが同種か否かについての議論が行われてきた。前述のように21世紀初頭ではそれらは同一種であるとする見方が一般的で、モリソン層の局地的な形成過程や組成の違いが両者の化石の差異として現れているに過ぎないと考えられている。エウロパエウスはジュラ紀後期キメリジアン期に形成されたポルトガルのロウリニャン層(en:Lourinhã Formation)に属する発掘地から1999年に見つかった新しい標本だが、フラギリスと同種であろうという意見も存在している。テンダグレンシスはタンザニアムトワラ州のキメリジアン期の層から発見された。21世紀初頭のレビューではテンダグレンシスをアロサウルスの一種として認めているものの、より原初的なテタヌラ類か既に登録済みの別の獣脚類である可能性も高いとされる。正体がはっきりしないテンダグレンシスであるが、体長は10mに達し、体重は2.5トンになる大型獣脚類であったと推定されている。 結果的にアロサウルスと学名が重複してしまった属にアントロデムス、クレオサウルス、ラブロサウルスがある。これらの標本の多くは現在はフラギリスであると考えられているが、骨格の一部しか発見されていない場合が多く、分類の妥当性に関して曖昧な部分も残っている。ところでこの内、1884年にマーシュが命名したラブロサウルス・フェロックスはその標本が特徴的であった。下顎の一部が発見されていたのだが、その口先の歯列には特徴的な隙間があり、標本の後部は大きく肥大して反り返っていた。後の研究によるとその一部は感染症の跡であり、後部の異常な形状は石膏型を作る段階で生じたものであろうと推測された。21世紀初頭ではこの標本はフラギリスのものとみなされている。この他、アロサウルスと関連すると考えられた化石はオーストラリア、シベリア、スイス等世界各地で見つかってきたが、多くはアロサウルスと違う恐竜だと結論付けられている。
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