アフィン接続に関する平行移動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/09/21 09:18 UTC 版)
「アフィン接続」の記事における「アフィン接続に関する平行移動」の解説
「平行移動 (微分幾何学)(英語版)」も参照 多様体上の異なる点での接ベクトルの比較は、一般的には well-defined な過程を通すことは困難である。アフィン接続は平行移動(英語版)の考えを使い、このことを修正するひとつの方法であり、実際、アフィン接続を定義することに使うことができる。 M をアフィン接続 ∇ を持つ多様体としたとき、すべてのベクトル場 Y に対して、∇YX = 0 となるという意味で ∇X = 0 であれば、ベクトル場は平行であると言う。直感的言うと、平行なベクトルはすべての微分が 0 に等しくなり、従って、ある意味では定数となる。2つの点 x と y での平行ベクトル場を解析することにより、2つの点での接ベクトルの間の同一視が得られる。そのような接ベクトルを互いに平行移動の関係と言う。 不幸にも、平行ベクトル場は一般には存在しない。方程式 ∇X = 0 は過剰決定系(英語版)である偏微分方程式で、この方程式の可積分条件は、(以下に見るように)曲率 ∇ が 0 となるときのみである。しかし、この方程式を x から y への曲線へ限定すると、方程式は常微分方程式となり、x での X の任意の初期値に対して一意な解が存在する。 さらに詳しくは、γ : I → M を区間 [a,b] でパラメトライズされた滑らかな曲線とし、x = γ(a) としたときに ξ ∈ TxM とする。さらに、次の 2つの条件を満たすとき、γ に沿ったベクトル場 X (と、特に、y = γ(b) でのこのベクトル場の値)を γ に沿った ξ の平行移動と呼ぶ。 すべての t ∈ [a,b] に対し、 ∇ γ ˙ ( t ) X = 0 {\displaystyle \nabla _{{\dot {\gamma }}(t)}X=0} X γ ( a ) = ξ {\displaystyle X_{\gamma (a)}=\xi } 第一の条件は、X が引き戻しバンドル(英語版)(pullback bundle) γ*TM 上の引き戻し接続)(英語版)の観点から、平行であることを意味する。しかし、局所自明化で、第一条件は1階の線型常微分方程式となり、第二の条件であたえられた任意の初期条件に対し一意な解を持つ(たとえば、ピカール・リンデレフの定理(英語版)により)。 このように、平行移動は、直感的な意味で「同じ方向を向く」ことを保ったアフィン接続を使い、曲線に沿って動く接ベクトルの方法をもたらす。このことは曲線の 2つの端点での接空間の間の線型同型をもたらす。この方法で得られた同型は、一般には曲線の選択に依存するそうでなければ、M 上のすべての平行ベクトル場を定義することに使うことができて、∇ が 0 であるときのみこのことが起きる。 線型同値は、線型空間の基底、あるいは標構の上への作用により決定される。従って、平行移動は曲線に沿った(接)標構バンドル(英語版) GL(M) の移動された元の方法として特徴付けることもできる。言い換えると、アフィン接続は、M 内の任意の曲線 γ の GL(M) 内の曲線 γ ~ {\displaystyle {\tilde {\gamma }}} への持ち上げ(lift)をもたらす。
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