アフィン型建物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/27 20:23 UTC 版)
K を有理数体 ℚ と p-進数体 ℚp との中間体とする(ℚp は、適当な素数 p に対する ℚ 上の通常の非アルキメデス的 p-進ノルム ‖ x ‖p に関する ℚ の p-進完備化)。また R を R := { x : ‖ x ‖ p ≤ 1 } {\displaystyle R:=\{x:\|x\|_{p}\leq 1\}} で定まる K の部分環とする。K := ℚ のとき R は有理整数環 ℤ の p における局所化 ℤ(p) であり、K := ℚp のとき R は p-進整数環 ℤp(すなわち ℚp における ℤ の閉包)。 建物X の頂点は V := Kn の R-格子すなわち L := R v 1 ⊕ ⋯ ⊕ R v n {\displaystyle L:=Rv_{1}\oplus \cdots \oplus Rv_{n}} の形の R-部分加群である。ただし、(vi) は V の K 上の基底である。二つの格子が互いに同値であるとは、一方が他方の K の乗法群 K* の元(実は、p-冪となる整数のみが必要である)によるスカラー倍となるときにいう。また、二つの格子 L1, L2 が隣接する (adjacent) とは、L2 に同値な格子で L1 とその部分格子 pL1 の間にあるものが存在するときに言う(この関係は対称的である)。X の k-次元単体は k + 1 個の互いに隣接する格子からなるクラスに同値であり、(n − 1)-次元単体は、適当にラベルを付け替えれば、鎖 p L n ⊂ L 1 ⊂ L 2 ⊂ ⋯ ⊂ L n − 1 ⊂ L n {\displaystyle pL_{n}\subset L_{1}\subset L_{2}\subset \cdots \subset L_{n-1}\subset L_{n}} に対応する。ただし、それぞれの隣り合う項の商は位数 p を持つものとする。アパートは V の固定された基底 (vi) に対して基底 (pai⋅vi) に関する格子全体をとることによって定義される。ただし、(ai) は ℤn の元で、各成分に同じ整数を加える違いを除いて一意的に定まるものとする。 定義により、このような各アパートは所期の形となり、それらの和は X 全体と一致する。二番目の公理は、シュライヤー細分の一種から従う。最後の公理を満たすことは ( L + p k L i ) / p k L i {\displaystyle (L+p^{k}L_{i})/p^{k}L_{i}} の形の有限アーベル群の順序に基づく単純な数え上げ法によって示される。標準コンパクト性論法により、X が実は K の取り方に独立であることが示される。特に、K := ℚ ととれば X の可算性が従う。他方、K := ℚp をとれば、定義から GLn(ℚp) が建物 X に自然な単体作用を持つことが分かる。 この建物は、その頂点に ℤ/nℤ に値を持つ「ラベル付け」を持つものになる。実際、格子 L を固定すれば、M のラベルは十分大きな k に対して label ( M ) = log p | M / p k L | mod n {\displaystyle \operatorname {label} (M)=\log _{p}|M/p^{k}L|{\bmod {n}}} で与えられる。X の任意の (n – 1)-次元単体は ℤ/nℤ の全体を亘ってそれぞれ相異なるラベルを持つ。X の任意の単体自己同型 φ は ℤ/nℤ の置換 π で label(φ(M)) = π(label(M)) を満たすようなものを定める。特に g を GLn(ℚp) の元とすれば、 label ( g M ) = label ( M ) + log p ‖ det g ‖ p mod n {\displaystyle \operatorname {label} (gM)={\text{label}}(M)+\log _{p}\|\det g\|_{p}{\bmod {n}}} が成り立つ。故に、g がラベルを保つのは g が SLn(ℚp) に属するときである。
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