連続式蒸留機(れんぞくしきじょうりゅうき)
アルコール発酵した酒の醪(もろみ)などを連続的に蒸留し、フーゼル油その他の不純物を除いたアルコールをつくるための装置。酒類のほか、近代的な化学工業の多くの分野に応用される。わが国へ初めて輸入されたのは明治二八年ころで、板橋(東京)と宇治(京都)の火薬製造所で94%の高濃度アルコールがつくられるようになった。当時の連続式蒸留機は醪塔、分離塔、精製塔の四本の蒸留塔を持ったイルゲス式であったが、製品から完全に異臭が除去しきれず、これを酒として用いるためには過マンガン酸カリウムと活性炭素で処理する必要があった。その後つぎつぎに改良が加えられ、昭和三五年には工業技術院で、減圧蒸留を併用したスーパーアロスパス蒸留機が開発された。現在用いられている蒸留機の基本構造は、(1)分離塔、(2)醪塔、(3)濃縮塔、(4)第一抽出塔、(5)第二抽出塔、(6)脱酒精塔、(7)精留塔、(8)精造塔、(9)不純物処理塔、(10)減圧蒸留塔の10本の蒸留塔からなっている。アルコールを含む醪はまず(1)で中沸点および低沸点の不純物が除かれ、(2)で蒸留廃液を分け、(3)でアルコールを95%濃度まで濃縮し、(4)(5)で低沸点成分とフーゼル油を除き、(6)でアルコールを回収し、(7)で高沸点不純物を除くとともにアルコール濃度を97.15%まで高め、(8)で純化したアルコールを取り、(9)でメタノールを除き、(10)で分離しにくい物質や残存するフーゼル油を分離する。この装置でつくったアルコールは酒税法上原料用アルコールと呼ばれ、焼酎甲類・清酒・合成清酒・みりん・酎ハイおよび各種リキュールの原料として使われる。
れんぞくしきじょうりゅうきと同じ種類の言葉
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