蒸留機(じょうりゅうき)
復数の成分からなる混合溶液を蒸留して目的の成分を分離、精製するための装置。蒸留酒の製造に使われている蒸留機は単式蒸留機と連続式蒸留機に分けられる。単式蒸留機は蒸留に必要な最低限度の機能を有するごく簡単な構造のものであり、酒類に適用する場合はアルコール発酵によって形成された風味成分の多くが製品に回収されるため、本格焼酎、モルト・ウイスキー、ブランデーあるいはラムやジンなどの一部に適用されている。また、このタイプの蒸留機は花や果皮、薬草類などの植物から香料成分(精油)を抽出分離、精製するのにも使われている。連続式蒸留機は数本ないし10本の蒸留塔が連結された複雑な構造を有し、原理的には単式蒸留を数10回~数100回繰り返すことにより精製を高める方法が採られ、近代の高度な化学工学の粋が結集されいてる。酒類に適用する場合はアルコール以外の成分(アルコールを中心とした場合、これらの成分は不純物とされる。)をほぼ完全に取り除いて純粋に近いアルコールがつくられる。このようにして焼酎甲類、グレーン・ウイスキーなどが製造されている。なお、連続式蒸留機は酒類のほか近代的な化学工業の多くの分野に採用され、たとえば、石油精製の分野では原油を連続式蒸留機にかけてLPGなどの燃料ガス、石油化学製品の原料(ナフサ)、ガ ソリン、灯油、軽油(ジーゼル・ガソリン)、重油などの製品をつくり出している。これらの蒸留機を減圧状態で運転するためにつくられた蒸留機を減圧蒸留機と称し、真空蒸留や分子蒸留に応用されている。最近、一部の本格焼酎にこの方式の蒸留機が導入され、ソフトな風味を持つ焼酎がつくられている。
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