まほろば (列車)
(らくラクやまと から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/13 13:41 UTC 版)
![]() |
この記事の出典や参考文献は、一次資料や記事主題の関係者による情報源に頼っています。
|
まほろば | |
---|---|
![]()
「安寧」編成で運行の「まほろば」
(2025年4月5日 奈良駅) |
|
概要 | |
国 | ![]() |
種類 | 特別急行列車 |
現況 | 運行中 |
地域 | 大阪府・奈良県 |
運行開始 | 2019年11月2日(臨時列車として) 2025年3月15日(定期列車として) |
運営者 | 西日本旅客鉄道(JR西日本) |
路線 | |
起点 | 大阪駅 |
停車地点数 | 4駅(起終点駅含む) |
終点 | 奈良駅 |
営業距離 | 54.4 km (33.8 mi) |
運行間隔 | 1往復(土休日のみ) |
列車番号 | 7091M・7092M |
使用路線 | 東海道本線・おおさか東線・関西本線(大和路線) |
車内サービス | |
クラス | 普通車 |
身障者対応 | 2号車 |
座席 | 全車指定席 |
技術 | |
車両 | 683系電車 |
軌間 | 1,067 mm |
電化 | 直流1,500 V |
最高速度 | 120 km/h |
まほろばは、西日本旅客鉄道(JR西日本)が大阪駅 - 奈良駅間を東海道本線・おおさか東線・関西本線経由で運行する特別急行列車である。
本項では、奈良駅 - 新大阪駅間の特急「らくラクやまと」のほか、2010年(平成22年)の奈良デスティネーションキャンペーンにあわせて運行された「まほろば」についても記述する。
概要
「まほろば」の列車名は、もともとは2010年に開催された「奈良デスティネーションキャンペーン」にあわせた臨時特急列車に用いられていた(後述)。同年限りでいったん設定終了となっていたが、 2019年(令和元年)からおおさか東線経由の臨時特急列車として改めて設定され、2021年・2022年を除いて毎年運転された。2025年(令和7年)3月のダイヤ改正では土休日運転の定期列車に格上げされ、本列車用にリニューアルを行った車両も投入されている。
「らくラクやまと」は、「まほろば」とは異なり通勤時間帯の着席需要を念頭に置いた列車として、2024年3月のダイヤ改正から平日にのみ運転されている。琵琶湖線の「らくラクびわこ」、JR神戸線の「らくラクはりま」とともに、「らくラク」を冠した着席通勤列車として命名された。
なお「まほろば」は久宝寺駅、「らくラクやまと」は新今宮駅を境に路線の上下方向が切り替わるが、市販の『JR時刻表』においては「まほろば」は大阪駅発を下り方向、「らくラクびわこ」では奈良駅発を下り方向としており、双方で扱いが分かれている[1]。
運行概況
2025年3月15日改正時点での状況[1]を示す。
定期列車は土休日のみの設定で、午前中に大阪駅発、午後に奈良駅発の1往復が運転されている。東海道本線(梅田貨物線)・おおさか東線・関西本線経由で運行され、大阪駅では上下とも22番線(うめきたエリア地下ホーム)を発着する。
-
列車名表示(2025年4月)
-
乗車位置表示
(2025年4月5日 奈良駅)
使用車両・編成
まほろば | ||||||
← 大阪
奈良 →
|
||||||
|
||||||
|
本列車向けにリニューアルされた、683系電車3両編成の「安寧」「悠久」編成が充当されている(「安寧」は2025年4月5日から導入。「悠久」は同年秋ごろから導入予定[7][5])。全車が普通車指定席である[5][6]。
2025年3月30日までは、吹田総合車両所日根野支所所属の287系電車3両編成で運転されていた[8][9][10][6]。2020年春季運転時までは3号車が自由席であった。
-
287系による「まほろば」
(2019年11月2日 奈良駅) -
287系時代の列車名表示
-
287系時代の乗車位置表示
(2024年11月3日 新大阪駅)
らくラクやまと
らくラクやまと | |
---|---|
![]()
らくラクやまと(2024年3月21日)
|
|
概要 | |
国 | ![]() |
種類 | 特別急行列車(通勤特急) |
現況 | 運行中 |
地域 | 奈良県・大阪府 |
運行開始 | 2024年3月18日 |
運営者 | 西日本旅客鉄道(JR西日本) |
路線 | |
起点 | 奈良駅 |
停車地点数 | 11駅(起終点駅含む) |
終点 | 新大阪駅 |
営業距離 | 52.0 km (32.3 mi) |
運行間隔 | 1往復(平日のみ) |
列車番号 | 1091M・1092M |
使用路線 | 関西本線(大和路線)・大阪環状線・東海道本線 |
車内サービス | |
クラス | 普通車 |
身障者対応 | 2号車 |
座席 | 全車指定席 |
技術 | |
車両 | 287系電車 (吹田総合車両所日根野支所) |
軌間 | 1,067 mm |
電化 | 直流1,500 V |
最高速度 | 120 km/h |
2025年3月15日改正時点で、朝に奈良駅発、夜に新大阪駅発の1往復が平日のみ設定されている[1]。(現行の)「まほろば」と異なり天王寺駅・大阪環状線経由での運行で、市販の時刻表や列車番号における上下方向は「まほろば」と逆になっている[1]。大阪駅では「まほろば」同様にうめきたエリア地下ホーム(21・24番線)を発着する[1]。
-
列車名表示
-
乗車位置表示
(2024年11月22日 新大阪駅)
使用車両・編成(らくラクやまと)
らくラクやまと | ||||||
← 奈良
新大阪 →
|
||||||
|
||||||
|
吹田総合車両所日根野支所所属の287系電車3両編成で運転されている[11][6]。「まほろば」同様、全車が普通車指定席である[6]。
沿革
前史
日本国有鉄道(国鉄)時代、奈良駅以西の関西本線では優等列車として名古屋駅 - 東和歌山駅(現在の和歌山駅)間(阪和貨物線経由)の特急「あすか」、名古屋駅 - 湊町駅(現在のJR難波駅)間の急行「かすが」が存在していた。しかし「あすか」は短期間で廃止、「かすが」も1973年(昭和48年)に奈良駅発着に短縮され、以降は定期優等列車が消滅。臨時列車としても、京都駅 - 白浜駅間を奈良線・関西本線・阪和貨物線経由で運行する特急「しらはま」が1988年(昭和63年)から翌1989年(平成元年)まで設定されたのが最後であった。
また、着席通勤列車として1988年から普通列車扱い(乗車整理券制)の「やまとじライナー」が運行されていたが、これも2011年(平成23年)に廃止となっていた。
2010年運行の「まほろば」
まほろば | |
---|---|
![]() |
|
概要 | |
国 | ![]() |
種類 | 特別急行列車 |
現況 | 運行終了 |
地域 | 大阪府・奈良県 |
運行開始 | 2010年4月1日 |
運行終了 | 2010年6月27日 |
運営者 | 西日本旅客鉄道(JR西日本) |
路線 | |
起点 | 新大阪駅 |
停車地点数 | 5駅(起終点駅含む) |
終点 | 奈良駅 |
営業距離 | 52.0 km (32.3 mi) |
運行間隔 | 1往復 |
列車番号 | 9093M・9094M |
使用路線 | 東海道本線・大阪環状線・関西本線(大和路線) |
車内サービス | |
クラス | 普通車 |
座席 | 普通車 |
技術 | |
車両 | 381系電車 (日根野電車区) |
軌間 | 1,067 mm |
電化 | 直流1,500 V |
最高速度 | km/h |
備考 | |
臨時列車扱い |
まほろば | ||||||||||||
← 奈良
新大阪 →
|
||||||||||||
|
||||||||||||
|
2010年(平成22年)の奈良エリアは奈良県・JR6社が協賛する「平城遷都1300年記念事業」に加え、4月 - 6月に「奈良デスティネーションキャンペーン」も開催されることから、その利用客輸送のための臨時特急列車として「まほろば」が設定された[12]。
キャンペーン開始日となる4月1日(木曜)が初運行となり、その後はキャンペーン中の土休日に1往復(午前に新大阪発、午後に奈良発)が設定されていた[12]。のちの「らくラクやまと」と同じく梅田貨物線・大阪環状線経由で、天王寺駅・王寺駅・法隆寺駅に停車[12](大阪駅地下ホームは当時未開業)。381系電車6両編成が使用され、普通車指定席4両と自由席2両(4月1日のみ全車指定席)が設定された[12]。
全区間でB特急料金が適用され、本列車の運転に伴って天王寺駅 - 八尾駅間が新たにB特急料金の区間となった[13][注 1]。また、2人または3人のグループ向けに、割安で指定席を利用できる「まほろばグループ特急券」も設定されていた[14]。
6月27日のラストランでは、駅員などが明治時代の制服着用で見送り、奈良駅長の出発合図で発車した[15]。
-
乗車位置表示
(奈良駅)
「まほろば」の再設定と「らくラクやまと」の新設
2019年(令和元年)におおさか東線が全線開業したのを契機に、11月 - 12月に新大阪駅 - 奈良駅間でノンストップの臨時特急列車が運行されることとなり、約10年ぶりに「まほろば」の名称が復活した[8]。新大阪駅で接続する山陽新幹線沿線から奈良市方面への誘客を念頭に置いている[8][16]ほか、オーバーツーリズムが指摘される京都・大阪方面の観光客を奈良に取り込む狙いもあると報じられた[17]。通年運行も視野に入れているとされた[17]が、翌2020年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により運休が発生。2021年・2022年は列車の設定自体がなくなっていた。
2023年(令和5年)3月から「まほろば」の運行が再開され、同年に地下ホームが新設された大阪駅発着に延長された[9]ほか、安価に利用できる「まほろばチケットレス特急券」が設定された[18][9]。翌2024年(令和6年)度は臨時列車ながらほぼ通年で運行され、2025年3月15日のダイヤ改正で土休日運転の定期列車に格上げされた。
一方、2024年3月16日のダイヤ改正では平日運転の定期特急列車として「らくラクやまと」が新設された[19]。「快速 うれしート」とあわせ、着席サービス強化の一環として設定されている[19]。
年表
- 2010年(平成22年)4月1日 - 6月27日:新大阪駅 - 奈良駅間(大阪環状線経由)で、土休日運転(4月1日のみ例外として運転)の臨時特急「まほろば」を設定。途中停車駅は天王寺駅・王寺駅・法隆寺駅[12]。
- 2019年(令和元年)11月2日 - 12月8日:新大阪駅 - 奈良駅間(おおさか東線経由)で、臨時特急「まほろば」13往復を設定。途中停車駅はなし[8](以下特記なき限り同じ)。
- 2020年(令和2年)
- 2023年(令和5年)
- 2024年(令和6年)
- 2025年(令和7年)
列車名の由来
「まほろば」は「素晴らしい場所」あるいは「住みやすい場所」という意味の古語で、すでに奈良あるいは旧大和国を称する言葉や奈良県のイベント・施設名称として使用されていたことから、列車名として採用された[12]。
脚注
注釈
出典
- ^ a b c d e f 『JR時刻表 2025年4月号』、交通新聞社、2025年3月、102-103頁。
- ^ a b 臨時特急「まほろば」運転のお知らせ(10~12月) (PDF) - 西日本旅客鉄道(2023年8月24日)
- ^ a b 2024年【秋】 臨時特急「まほろば」 運転のお知らせ (PDF) - 西日本旅客鉄道(2024年8月22日)
- ^ a b この冬も臨時特急「まほろば」を運転します! 奈良エリアへの観光やおでかけに、ぜひご利用ください! (PDF) - 西日本旅客鉄道(2024年10月18日)
- ^ a b c d 特急「まほろば」号:JRおでかけネット - 西日本旅客鉄道(2024年12月13日閲覧)
- ^ a b c d e f 「列車の編成ご案内」-『JTB小さな時刻表』2025年春号、営業案内83頁、JTBパブリッシング
- ^ a b c d e 25年春、特急「まほろば」の定期運行化と、リニューアルデビューが決定! (PDF) - 西日本旅客鉄道(2025年6月13日閲覧)
- ^ a b c d 新大阪~奈良駅間 ノンストップ特急の臨時運行 - 西日本旅客鉄道(2019年8月22日)
- ^ a b c d 臨時特急「まほろば」運転のお知らせ (PDF) - 西日本旅客鉄道(2023年1月20日)
- ^ a b c ~大阪・関西万博プラスワントリップ~3月ダイヤ改正から、特急「まほろば」を増発します! (PDF) - 西日本旅客鉄道(2025年1月17日)
- ^ より便利になる通勤特急を「らくラク~」シリーズに統一します (PDF) - 西日本旅客鉄道(2024年1月30日)
- ^ a b c d e f 奈良デスティネーションキャンペーン 臨時特急「まほろば」号 運行開始! - 西日本旅客鉄道(2010年1月22日、2010年3月17日時点でのアーカイブ)
- ^ 『JTB時刻表』2010年3月号、P.989、JTBパブリッシング
- ^ 「新大阪駅から奈良駅間直通」「指定席」だから、ゆったり座れる「まほろばグループ特急券」発売開始!!お手持ちのきっぷに、プラス500円で(1名あたり片道)指定席にご乗車OK!! - ウェイバックマシン(2010年6月25日アーカイブ分) - 西日本旅客鉄道(2010年4月14日)
- ^ 「臨時特急"まほろば"の運転終了」-『railf.jp(鉄道ニュース)』、交友社(2010年6月28日)
- ^ 「帰ってきた「臨時特急まほろば」〜奈良の雄・近鉄への挑戦〜」-『鉄道チャンネル』、エキスプレス(2019年9月7日)
- ^ a b 「どうする近鉄、JR西日本、牙城の「奈良」に臨時特急運行」-『産経ニュース』、産業経済新聞社(2019年9月9日)
- ^ 【e5489専用】まほろばチケットレス特急券:JRおでかけネット - 西日本旅客鉄道(2023年1月20日閲覧)
- ^ a b c 2024年春のダイヤ改正について (PDF) - 西日本旅客鉄道近畿統括本部(2023年12月15日)
- ^ 2020年【春】の臨時列車の運転について (PDF) - 西日本旅客鉄道(2020年1月17日)
- ^ 山陽新幹線、在来線特急における一部臨時列車の運休について (PDF) - 西日本旅客鉄道(2020年4月6日)
- ^ 運転計画の変更について (PDF) - 西日本旅客鉄道(2020年4月20日)
- ^ 【在来線特急】夏の臨時列車の運転について (PDF) - 西日本旅客鉄道(2020年6月19日)
- ^ 【在来線特急】9月の臨時列車のお知らせ (PDF) - 西日本旅客鉄道(2020年7月21日)
- ^ 2024年【春】の臨時列車の運転について【2024年3月1日(金)~2024年6月30日(日):122日間】 (PDF) - 西日本旅客鉄道(2024年1月19日)
- ^ 2024年【夏】の臨時列車の運転について【2024年7月1日(月)~ 2024年9月30日(月):92日間 】 (PDF) - 西日本旅客鉄道(2024年5月17日)
- ^ 2024年【秋】の臨時列車の運転について【2024年10月1日(火)~2024年11月30日(土):61日間】 (PDF) - 西日本旅客鉄道(2024年8月22日)
- ^ 2024年【冬】の臨時列車の運転について【2024年12月1日(日)~ 2025年2月28日(金):90日間】 (PDF) - 西日本旅客鉄道(2024年10月18日)
- ^ 2025年【春】の臨時列車の運転について【2025年3月1日(土)~ 2025年6月30日(月):122日間】 (PDF) - 西日本旅客鉄道(2025年1月17日)
- ^ 2025年3月15日ダイヤ改正を実施します ~大阪・関西万博開催に合わせて列車を増発します~ (PDF) - 西日本旅客鉄道(2025年6月13日閲覧)
関連項目
- 日本の列車愛称一覧
- デスティネーションキャンペーン
- 平城遷都1300年記念事業
- 近鉄特急#阪奈特急(大阪 - 奈良間) - 当列車と競合する区間で運行される近畿日本鉄道(近鉄)の特急列車群について記述。
- らくラクびわこ・らくラクはりま - アーバンネットワーク内で設定されている通勤特急。
外部リンク
- 臨時特急「まほろば」号:JRおでかけネット - 西日本旅客鉄道
- 特急「まほろば」号:JRおでかけネット - 西日本旅客鉄道
- らくラクやまと:JRおでかけネット - 西日本旅客鉄道
- らくラクやまとのページへのリンク