ブロック経済
「ブロック経済」とは、特定の関係国との間で閉鎖的な経済圏を築き、その他の国を経済的に締め出す形をとる経済体制のことである。あるいは、その経済圏や、その閉鎖性をいかした経済活動のことである。
一般的には「ブロック経済」といえば1930年代に世界恐慌の影響を受けて各国が各々の植民地や同盟国と築いた体制を指す場合が多い。2020年代現在では「デカップリング」の行き着く先として「ブロック経済」の名が引き合いに出されることも多い。
「ブロック経済」の基本的な意味
1930年代に欧米諸国がとった「ブロック経済」は、1929年の「暗黒の木曜日」を皮切りに起こった世界恐慌に対する自衛策として、諸国がとった体制である。各国が自らの植民地や、同じ通貨基準を持った国と共に、閉鎖的な経済圏を築いた。世界規模で経済活動を行うためには、貿易が欠かせない。しかし、貿易は必ずしも自国にとって有益であるとは限らず、不利益をもたらす恐れがある。特に、他国の経済が悪化した際に、自国の経済が巻き込まれると、大きな損害を被りかねない。世界恐慌が起こった1930年代には、実際にそのリスクがあった。そこで、欧米諸国が、他国の経済の影響を受けないよう、ブロック経済を実施した。他国を介入させず、身内のみで貿易を行う経済圏を作り上げたわけである。
ブロック経済を実施した国の主な例として、イギリスとフランスが挙げられる。イギリスは、オーストラリアやインド、香港など、ポンドを使用する国と共に、「スターリング=ブロック」という名前の経済圏を作った。フランスが作ったのは、「フラン=ブロック」という名前の経済圏である。こちらは、金の価値を通貨の基準とする、オランダやベルギーなどの国で構成される経済圏だ。それぞれ、圏外の国に対しては高い税率の関税をかけ、他の国が経済圏に入れないようにした。
ブロック経済は、経済圏に加わる国の所得を増やすというメリットがある。ただ、恩恵を受けられるのは、あくまでも経済圏を構成する国のみである。ブロック経済を作れない、あるいは他国が作ったブロック経済に入ることができない国にとっては、貿易の数が減り、所得が減るという悪影響がある。そして、ブロック経済を作るためには、植民地や潤沢な資源が必要であった。それらを持っていたイギリスやフランス、アメリカなどは、「持てる国」と呼ばれた。それに対して日本とドイツ、イタリアは、植民地と潤沢な資源がなかったため、「持たざる国」と自称した。
自らを「持たざる国」と認めた日本とドイツ、イタリアは、経済力を高めるために、他国に侵略することとなった。その結果、第二次世界大戦が勃発した。現代では、ブロック経済は、「持てる国」と「持たざる国」の対立を激化させ、第二次世界大戦の開戦の直接的な原因となったと考えられている。
「ブロック経済」の語源・由来
「ブロック経済」は、英語表現「bloc economy」を日本語の表現にしたものである。「bloc(ブロック)」は、限られた範囲を指す「圏」という意味であり、「economy」は「経済」を意味する。その2つの単語を組み合わせた、「bloc economy(ブロック経済)」が、特定の範囲に限定される経済活動や経済体制、あるいはその経済圏という意味で使用されるようになった。「ブロック経済」を含む用語の解説
「ブロック経済圏」とは
「ブロック経済圏」は、特定のブロック経済の範囲(圏)を指す言葉である。ブロック経済の「ブロック」は、「圏」という意味だ。そのため、ブロック経済圏は、「圏」の部分が二重表現となる。ただ、日本語の表現では、ブロック経済は経済圏ではなく、経済活動や経済体制を指す言葉として使用されることが多い。そのため、ブロック経済を行う範囲に限定する際には、あえて二重表現「ブロック経済圏」が使われることがある。
「ブロック経済」の使い方・例文
「ブロック経済」は、第二次世界大戦のきっかけとなった経済圏や経済体制を指す、歴史的な言葉として使用されることが多い。以下例文。- ぶろっくけいざいのページへのリンク