たぬきうどんとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 食物 > 料理 > 饂飩 > たぬきうどんの意味・解説 

たぬき‐うどん【×××飩】

読み方:たぬきうどん

刻みねぎと揚げ玉をのせたかけうどん。→たぬきそば[補説]


たぬき (麺類)

(たぬきうどん から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/29 14:25 UTC 版)

東日本暖簾わけ店のたぬきそば(食品サンプル)
大阪の立ち食いそば屋のたぬきそば(食品サンプル)
イギリス・ブライトンのたぬきそば
イギリス・ロンドンのたぬきうどん

たぬきそば(狸蕎麦)・たぬきうどん(狸饂飩)は、蕎麦うどん料理の一種[1]である。地方によって呼称や調理法が異なる(#各地方の特徴にて詳述)。ネギ鳴門巻きなどを入れる場合もある[2]。これを冷やしたものは「冷やし たぬきそば・冷やし たぬきうどん」と呼ぶ[3]

歴史

大正時代[4]東京揚げ玉を無料で出していたところ人気となり、東京では後に有料となったことから地域差が生まれた。戦時中にはパーッと広がる様子から「バクダン」とも呼ばれた[4]

古川ロッパは、エッセイ「うどんのお化け」で、たぬきうどんについて以下のように述べている[5]

又、たぬきというのもある。これは、何かと思ったら(昔は、あんかけを、たぬきに称していたようだが)揚げカスを、載っけた奴であった。それなら、つい先頃まで、ハイカラうどんと称していた筈である。

語源

語源には諸説ある。蕎麦や饂飩の「たぬき」が表す料理は地方によって異なる料理を示す事もあり、それぞれ異なる説もある。

  • 天かすを入れたものをたぬきと称する事に関する説
    • タネ抜きの転訛であるとする説
    天ぷらの「タネ」を入れない(タネを抜いた)揚げ物の「タネヌキ」であり[6]、そば屋で「ぬき」を頼むと天ぷらそばのそば抜き(そばつゆに天ぷらだけが入っている)が出てくるのと同様で、「タネ抜き」を語源に「たぬき」とした説[7][8][9][10]
    • きつねそば・きつねうどんに比べてかけ汁の色合いが濃く濃厚な味付けであることに由来するとみる説[8][10][11]
    • 世田谷区(キヌタ)家で始めたキヌタソバがその始まりだという説[12]があり、「きぬた」を逆さに読んだ。
    • 天かすの印象が腹を膨らませた「たぬき」の様子を連想させることに由来するという説[2]
  • 油揚げを入れたそばの語源に関する説
    • うどんの麺の白に対して、そばの麺の黒を「たぬき」に例えたとする説[13]
    • 関西においては、そばよりうどんが一般的に好まれているとされる事を元にして「うどんからそばに化けた」事から「たぬき」と呼ばれるようになったという説[13]
    • 関東において、江戸後期のある店でイカのかき揚げの衣に対して具が小さいものが出され、それがたぬきに化かされた感じがすることから「たぬき」と呼ばれるようになったという説[14]

各地方の特徴

地方によって名称や特徴が異なり[15]、下記に記述する。

北海道

過去に北海道ではかき揚げをのせたものをたぬきと称すると書かれた文献もあるが[16]、昭和の時代から北海道でもたぬきそばは天かすを入れたそばであり、かき揚げを乗せたそばはかき揚げそばと称するのが一般的である。

東日本

東日本において、「たぬき」は一般には揚げ玉(天かす)をのせたものを指し、たぬきそば・たぬきうどんは、かけよりも価格は高く設定されていることが多い[17]。蕎麦屋によっては、揚げ玉を「たぬき」として売っているところがある[注 1]

石川

たぬきうどんは、揚げ玉入りのうどんであるが、金沢市では京都と同じたぬきうどんを出す店もある。

京都

京都では刻んだ油揚げの上からを掛けたうどんを「たぬき」と呼ぶ[11][19][20][21]。大阪で一般的にいわれる「たぬき」とは異なるため、単に「たぬき」とだけ注文された場合には店側がうどんのものかそばのものか念を押すことがあるとされる[20]。 「京風うどん」を提供する全国丼ぶりチェーン店なか卯』の天かす・揚げ玉入りうどんは「はいからうどん」が商品名。

大阪

大阪では油揚げを乗せた「そば」を「たぬき」と呼ぶ[11][19]。油揚げは甘辛く味付けしたものである(当地のきつねの台を蕎麦にしたものが「たぬき」[20])。大阪周辺の立ち食いうどん店などでは天かす(関東では揚げ玉)は無料で提供されている事がある[17]

中四国・九州北部

この地域では「ハイカラうどん」という名で売り出している店もある[17]。なお、「はいから」はいわゆる「きつねうどん」の別称でもある[22]

関西以外 関西
きつね
  • 油揚げの甘煮をのせたそば又はうどん
    (きつねうどん、きつねそば)
  • 油揚げの甘煮をのせたうどん(けつね、しのだ)
たぬき
  • 揚げ玉をのせたそば又はうどん
    (たぬきうどん、たぬきそば)
  • 京都:刻んだ油揚げ[注 2]と青ねぎをあんかけにしたうどん又はそば
  • 大阪:油揚げの甘煮またはキザミをのせたそば
ハイカラ
  • 揚げ玉をのせたうどん又はそば[注 3]
きざみ
  • 刻んだ油揚げをのせたうどん又はそば

即席めん

脚注

注釈

  1. ^ 胡麻油と白絞油の油を使用し、天ぷらとは別に作り上げたもの[18]
  2. ^ 通常、甘煮ではない素の油揚げが用いられる。
  3. ^ 前述のように、揚げ玉は無料でのせられる店も多いため、特に料理名を付けないこともある。

出典

  1. ^ 新明解国語辞典第7版(2012、三省堂)
  2. ^ a b 『衣食住語源辞典』東京堂出版 p.195 1996年
  3. ^ “冷たいカップ麺”はおいしいのか!? 日経ウーマンオンライン【食のトレンド発掘隊】、2012年7月11日
  4. ^ a b そば屋メニュー紹介「たぬきそば」 日本麺類業団体連合会/全国麺類生活衛生同業組合連合会
  5. ^ 古川緑波. “うどんのお化け”. www.aozora.gr.jp. 2022年2月19日閲覧。
  6. ^ 「天かす」項目内の「「天かす」と「揚げ玉」」の節参照 [出典無効]
  7. ^ 小麦粉のある風景「うどん」「そば」にしひがし 財団法人製粉振興会
  8. ^ a b 植原路郎著・中村綾子改訂『蕎麦辞典 改訂新版』東京堂出版 p.153 2002年
  9. ^ 平川陽一編『今さら誰にも聞けない500の常識』廣済堂文庫 p.247 2003年
  10. ^ a b 岡田哲著『たべもの起源事典』東京堂出版 p.280 2003年
  11. ^ a b c 岡田哲編『コムギ粉料理探究事典』東京堂出版 p.191 1999年
  12. ^ 新明解国語辞典第5版(三省堂)
  13. ^ a b 平川陽一編『今さら誰にも聞けない500の常識』廣済堂文庫 p.248 2003年
  14. ^ 札埜和男『大阪弁「ほんまもん」講座』2006年、新潮社、p171
  15. ^ 参考:たぬきときつね 複数サイトを参照しメーリングリストや掲示板からの意見をまとめたもの [出典無効]
  16. ^ どんぶり探偵団・編『ベストオブ丼』文春文庫・97頁
  17. ^ a b c 大谷晃一著『大阪学』新潮文庫 p.60 1994年
  18. ^ たぬき(あげ玉)”. そば 富泉. 2020年5月30日閲覧。
  19. ^ a b 岡田哲著『たべもの起源事典』東京堂出版 p.281 2003年
  20. ^ a b c 大谷晃一著『大阪学』新潮文庫 p.247 1994年
  21. ^ 第127回みんなが愛する庶民の味 京のおうどん - KBS京都『京のいっぴん物語』、文中に「たぬき」の説明
  22. ^ 岡田哲著『たべもの起源事典』東京堂出版 p.126 2003年
  23. ^ 参考 : 食品のグッジョブ!SOULE [出典無効]

参考資料

  • 『蕎麦辞典』
  • 『そば・うどん百味百題』

関連項目

  • タヌキ動物
  • 丼物 - 揚げ玉(卵でとじる場合もある)を乗せた「たぬき丼」がある。
  • おにぎり - 揚げ玉をご飯に混ぜて握る「たぬきおにぎり」がある。
  • かけそば - 基本となるそば。
  • きつね (麺類) - 同じく動物の名前が使われる事から、たぬきとともに取り上げられる麺類。

外部リンク


たぬきうどん

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/22 07:26 UTC 版)

「うどん」の記事における「たぬきうどん」の解説

詳細は「たぬき (麺類)」を参照 地域により大幅に具材異なる。関東近郊では天かす揚げ玉)を散らしたものを指し京都においては細切り油揚げ載せてから、くずあんをかけておろし生姜添えたものを指し石川県金沢市では「いなりあんかけうどん」となる。大阪北部九州では「はいからうどん」と呼ぶが、天かす無料トッピングとして提供している店舗も多いため、提供され素うどん選択肢一つとして認識されている。大阪神戸などで「たぬき」と言えば油揚げ載せたそばを指すのが一般的である。

※この「たぬきうどん」の解説は、「うどん」の解説の一部です。
「たぬきうどん」を含む「うどん」の記事については、「うどん」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「たぬきうどん」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

たぬきうどん

出典:『Wiktionary』 (2021/08/17 04:33 UTC 版)

名詞

たぬきうどん饂飩

  1. 揚げ玉載せうどん
  2. 京都短冊状に切った油揚げの上から葛餡掛けたうどん。

関連語




たぬきうどんと同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「たぬきうどん」の関連用語

たぬきうどんのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



たぬきうどんのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのたぬき (麺類) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのうどん (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Text is available under Creative Commons Attribution-ShareAlike (CC-BY-SA) and/or GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblioに掲載されている「Wiktionary日本語版(日本語カテゴリ)」の記事は、Wiktionaryのたぬきうどん (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、Creative Commons Attribution-ShareAlike (CC-BY-SA)もしくはGNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS