その他争点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/19 02:28 UTC 版)
「福山市一家3人殺害事件」の記事における「その他争点」の解説
第一審では被告人Uの責任能力に加え、自首の成否も争点となり、弁護人は「被告人Uは犯人が捜査機関に発覚する以前に自ら名乗り出、駆けつけた警察官に対し『逃げも隠れもせん』と言い、訴追・処分を求めたため、自首が成立する」と主張した一方、検察官は「110番通報による申告は警察官と直接対面してなされたものではなく、刑事訴訟法第245条に規定される自首の方式を具備せず、刑法上の自首に該当しない」と主張した。広島地裁福山支部は第一審判決 (1991) で「自首に関しては形式的手続面を重視する必要はない。被告人Uは110番通報で警察官がその場に駆けつけることを当然に予期し、それまで待機する意思を固めた上で電話を掛け、実際にその到着を待ち受けて所轄署への動向に応じたため、110番通報による犯行の申告そのものは自首と認められる」と認定したが、その一方で「自首の目的は『Dや“○○子”との対面の機会を作ってもらい、その機会にDらに危害を加え報復するため』で、自己の行為についての悔悟の念からとは認められない。また3人の生命を奪ってからも、なおDらへの報復の執念を燃やし続けた執拗性・危険性を示す行為で、刑の減軽事由に当たるとは到底解し難い」と判断した。 なお、被告人Uは取り調べ・第一審の公判では特に隠し立てせず詳細な供述をしたほか、被害者のうちAの実母Cに対しては「何の恨みもない老女を巻き添えにしてしまった」と自覚し、反省の言葉を口にした。しかし他の被害者に対してはそのような態度を示さず、「A・B夫婦やDが甲に冷淡な仕打ちをしたり、自分をコケにしたからこうなった」と被害者らを非難したほか、「甲が被害者らの保険金目当てに自分を利用して犯行に至らせた」などと他罰的な供述を繰り返した。また、第12回公判における被告人質問では殺人予備の被害者D(殺害は未遂に終わった)について、「Dも親(甲)を放り出そうとしていたし、よく家に来て甲を突飛ばしたり、散々困らせていたから『どうせならやってしまおう』と思った」と供述した一方、「Dを殺す気はなく、本当に殺す気なら裏口から入ってでも殺せた」と殺意を否定する旨を供述したが、控訴審判決 (1998) では「客観的な状況や被告人Uが捜査段階でDへの殺意を認めることなどに照らして信用できない供述だ」と退けられた。
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