その他の訳
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古くは以下のような訳類があることが明らかにされている。 大正14年(1915年)に鯖瀬春彦「アナベル・リイ」(『音楽』6巻6、東京音楽学校)(詳細未詳)。 大正8年(1919年)4月に片山伸訳「アナベル・リイ」(生田春月編『泰西名詩名訳集』越山堂)、昭和2年10月、畑喜代司著『泰西名詩の味ひ方』(資文堂)所収〔亞米利加詩篇〕に清水暉吉訳「アナベル・リィ」を収録(これは昭和10年に『泰西名詩の鑑賞』として改題・再刊されている)。 昭和10年(1935年)『世界文芸大辞典』第一巻(中央公論社)に日夏耿之助が「アナベル・リイ」の項目執筆を行っている。 大江健三郎の小説『﨟(らふ)たしアナベル・リイ総毛立ちつ身まかりつ』(2007年刊)は、2010年、文庫化に際し『美しいアナベル・リイ』に改題されたものであるが、日夏耿之助訳中に「﨟(らふ)たしアナベル・リイ」という表記は第四聯と第六聯に見えるものの、「総毛立ちつ身まかりつ」と直接に連接した表現はみられない。 日夏耿之助訳(創元選書『ポオ詩集』)では七五調を基調としながら、第一聯「わたの水阿(みさき)の里住みの」〜第二聯「わたの水阿のうらかげや」〜第三聯「かかればありしそのかみは」〜第四聯「帝郷の天人ばら天祉(てんし)およばず」〜第四聯「ねびまさりけむひとびと」〜第六聯「月照るなべ」〜「そぎへに居臥す身のすゑかも。」と、最後の「そぎへに居臥す身のすゑかも」を七七調にすることで韻律のうえでも詩に決着をつけて終わる。 一方、加島祥造(岩波文庫『ポー詩集』)では、第一聯「幾年(いくとし)も幾年も前のこと」〜第二聯「この海辺の王国で、ぼくと彼女は子供のように、子供のままに生きていた」〜第三聯「そしてこれが理由となって、ある夜遠いむかし、その海辺の王国に」〜第四聯「天使たちは天国にいてさえぼくたちほど幸せでなかったから」〜「ある夜、雲から風が吹きおりて凍えさせ、殺してしまった、ぼくのアナベル・リーを。」と、四聯に集約している。 ステファヌ・マラルメはポーによる第六聯の詩をフランス語に訳すにあたり、最終第六聯と入れ替えるかたちで、原詩の第五聯を末尾に配するという改竄をおこなっている。
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