酸性ガス除去プロセス
【英】: acid-gas removal
ガス中に含まれる硫化水素、炭酸ガスなどの酸性成分を除去するプロセス。除去の主な目的は、(1) 燃焼排ガスによる大気汚染防止、(2) 装置腐食防止、(3) ガスの単位容積あたりの熱量アップ、(4) 反応器中の触媒被毒防止、(5) 天然ガス液化プラント、LPG 低温回収プラントなどの低温プロセス部での炭酸ガス、硫化水素などの固結による閉塞{へいそく}トラブル防止などが挙げられる。 現在商業的に用いられているプロセスは、アルカリ溶液などを用いた吸収法、モレキュラー・シーブなどの吸着剤を用いた吸着法などがあるが、最近では酢酸アセテート・メンブレンなどを用いた膜分離プロセスも開発されている。最も実績のある吸収法はその原理により化学吸収と物理吸収に分けられ、前者は吸収液中の塩基性物質が酸性ガスと反応し、液中で錯塩を形成し、気相の酸性ガスを除去する。後者は高圧下で酸性ガスがその分圧に応じて溶媒中に溶解し、溶媒の圧力を下げればガスは放散されることを利用するものである。吸収液として用いられている代表的なものは次のとおりである。 (1) 化学吸収法モノエタノールアミン(MEA)ジエタノールアミン(DEA)ジグリコールアミン(DGA)炭酸カリウム (2) 物理吸収法メタノールプロピレンカーボネイト熱炭酸カリウム法および物理吸収法は、酸性ガスの分圧が高い場合の粗除去に適している。最も多用される MEA 、DEA を用いる吸収法のプロセスの基本は図のとおりである。 未精製ガスは吸収塔(棚段塔、充てん塔)に入り塔内で上部より流れ落ちる吸収液と向流接触し酸性ガスを除去され、精製ガスとなる。酸性ガスを吸収した吸収液は再生塔へ送られ、減圧・加熱により酸性ガスを放散し再生されたあと、再び吸収塔へ循環される。吸着法は、モレキュラー・シーブなどの吸着剤を充てんしたいくつかの吸着塔を持ち、交互に吸着と吸着剤の再生とを繰り返す。再生時にはプロセス・ラインから切り離し、減圧や高温の再生ガスを通すことにより吸着した酸性ガス分を取り除く。このプロセスは原料ガス中の酸性ガスの含量が微量の場合に用いられる。またモレキュラー・シーブは脱水の機能もあるので、脱水と同時に酸性ガス除去の役をする。 ![]() |

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