じゅうりょく‐いじょう〔ヂユウリヨクイジヤウ〕【重力異常】
重力異常
【英】: gravity anomaly
地下構造に対応する重力値の起伏をいう。地下に高密度の岩石があると重力値は標準重力値よりも大きくなり、逆の場合は小さくなる。このことから逆に重力値を測定して、地下構造を推定することができる。地球を均質な球と仮定し、そのために重力測定値を補正するブーゲー重力値が得られる。ブーゲー重力値に現れる異常は地下構造を反映している。地下構造の反映をより明確にするために、鉛直二次微分や残留重力をとることがあり、ここに現れた異常も重力異常と呼ぶ。 |

重力異常
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/10 22:26 UTC 版)
重力異常(じゅうりょくいじょう、gravity anomaly)とは、重力の実測値(あるいは観測値)と、理論モデルから予測される値との差のことである。測地学・地球物理学の分野と、天文学・宇宙物理学の分野の双方で、上記の意味で同じ用語が使われているが、対象が異なるため概念も異なる。
測地学と地球物理学
測地学と地球物理学においては、重力異常とは、重力の実測値と標準重力の差のことである[1]。
標準重力は地球楕円体上での理論的な重力の値であり、重力異常を測定する際は、測定点に対して地形や高度による影響を補正しなければならない。
フリー・エア異常
測定点の高度の影響を補正しジオイドにおける値にしてから、基準重力を差し引いたときの値[2]。地球内部の密度の不均一による重力値の変動を示す[3]。高さ
天文学、特に宇宙物理学においては、重力異常とはある宇宙の領域の重力の観測値と理論値(質量の空間密度の予測値から計算される)との差を指す。重力異常の存在は、その宇宙の領域における実際の質量の空間密度分布が予測値と異なっていることを意味する。
このような重力異常はいくつか発見されており、例えばわれわれ自身の銀河系の観測された回転運動の特性は、目に見える(光学的に観測できる)物質が作る重力だけでは説明がつかず、その10倍程度の目に見えない何かしらに由来する質量に相当するものが必要であるはずであることから、仮説上の存在として「ダークマター」という名称で研究されている。また、銀河間空間の重力の値は銀河の特有速度 (peculiar velocity) の観測値から計算されるが、これからうみへび座とケンタウルス座の方向、銀河系から1.5億光年から2.5億光年の距離にグレート・アトラクターと呼ばれる重力異常が見つかっている。
利用・応用
- 物理探査方法の一つとして用いられる。
脚注
参考文献
- 八木勇治 著「プレートテクトニクス」、指田勝男・久田健一郎・角替敏昭・八木勇治・小室光世・興野純 編 『地球進化学―地球の歴史を調べ、考え、そして将来を予測するために―』古今書院、2007年。ISBN 978-4-7722-5204-1。
- 箕浦幸治・池田安隆 『地球のテクトニクスI 堆積学・変動地形学』共立出版、2011年。ISBN 978-4-320-04717-4。
関連項目
外部リンク
- 測地学テキストWeb版 重力異常 - 日本測地学会
- 地磁気・重力 - 海上保安庁
- 日本列島重力異常図 - 中部大学 地球ウォッチ市民安全センター
- 地質図Navi - 産業技術総合研究所 地質調査総合センター(ブーゲー異常の日本地図あり)
重力異常
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/01 07:38 UTC 版)
地質調査総合センター、新エネルギー産業技術総合開発機構、金属鉱業事業団、国土地理院、名古屋大学、島根大学、愛媛大学による測定データを基に、周辺一帯の重力測定が行われた。その結果、島根県津和野町付近から山口市徳地付近を経て防府市に至る地域には負のブーゲー異常が見られたが、須佐高山付近のみ明瞭な正のブーゲー異常が見られた。須佐ホルンフェルス一帯の高い重力異常は比較的浅い地殻域の岩石密度が高いことを示唆している。
※この「重力異常」の解説は、「須佐ホルンフェルス」の解説の一部です。
「重力異常」を含む「須佐ホルンフェルス」の記事については、「須佐ホルンフェルス」の概要を参照ください。
「重力異常」の例文・使い方・用例・文例
- 重力異常のページへのリンク