『ウユーン』とは? わかりやすく解説

『ウユーン』

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 09:46 UTC 版)

イブン・アビー・ウサイビア」の記事における「『ウユーン』」の解説

イブン・アビー・ウサイビア著作の中では、『ウユーン』と略称される著作が最も重要である。これは400人ほどの医師科学者伝記集めたもので、正式な題名Uyūn al-anbāʼ fī ṭabaqāt al-aibbā ( عيون الأنباء في طبقات الأطباء, littéralement Vies de médecins ou Sources d'informations sur les classes de médecins)という。 伝記書かれ人物のうち、380人ほどが医師であり、残りイスラーム科学科学者数学物理天文学哲学等)である。イブン・アビー・ウサイビア本書1242年ダマスクス書き上げ1245年あるいは1246年出版した。 『ウユーン』は15章分かれる。1: 医学起源。2: 最初期医者。3: ギリシア医者。4: ヒッポクラテスとその同時代人。5: ガレノスとその同時代人。6: アレクサンドリア医者。7: 預言者時代医者。8: アッバース朝初期シリア医者。9: 翻訳者たち。10-15: その他の世界各地イラクペルシアインドマグリブアンダルスエジプトシリア)の医者。 『ウユーン』は医学史(médico-historique: history of medicine とはニュアンス異なる)という新し学問分野創造した。『ウユーン』は重要な医師たちの生涯に関する客観的な叙述と書情報のみからなり、この点で、対象人物の模範性を強調し顕彰する従来のハギオグラフィックな伝記とは異なる。イブン・アビー・ウサイビアは、学者たちの思想とその著作についてより深く知ること、ただそれだけのために彼らの生涯関心持った。『ウユーン』はまた、広範囲にも通時的にも名高い医師たちを対象としており、広い範囲世界視野入れた最初医学史研究でもある。 『ウユーン』には同時代シリアエジプト医学者それぞれ1章ずつ割り当てられているにもかかわらず研究仲間のイブン・ナフィースについての言及がない。イブン・アビー・ウサイビアとイブン・ナフィースの間に、対抗心か、さらに言えば個人的な敵意のようなものが存在したのかもしれない, 。 ヨーロッパ世界医者について、このようなアプローチ伝記を書く試みは、ルネサンス期人文学者ユマニスト)の登場を待たなければならない15世紀のジョヴァンニ・トルテッリが著した伝記同様のアプローチ書かれた、ヨーロッパにおける最初医学史列伝である。

※この「『ウユーン』」の解説は、「イブン・アビー・ウサイビア」の解説の一部です。
「『ウユーン』」を含む「イブン・アビー・ウサイビア」の記事については、「イブン・アビー・ウサイビア」の概要を参照ください。

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