「食品ロス」の問題点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/21 06:09 UTC 版)
「食品ロス」は第1に食糧資源のムダ使いであり、飢餓や栄養不足に苦しむ発展途上国がある一方、先進国ではその多くが食料廃棄物として処分されることから効率性の観点のみならず人道的見地からも問題がある。日本の場合は、食料自給率が先進国中最低水準にあり,世界最大の食料輸入国でありながら、膨大な量の食品ロスが存在しており、食品ロスを減らすことは間接的には自給率を上げることにつながる 第2に、家計にとっても企業にとっても経済的な損失となる。食品製造や流通に使用された資源・エネルギーもムダとなる。食品ロスの発生は企業の利益率を著しく低下させ、一方では小売価格を引き上げる。仕入量に比較して販売量が少なければ、残りは廃棄処分となるが、その割合が高くなれば廃棄のための費用は販売価格に転嫁されるからである 第3に、環境問題がある。国際連合の持続可能な開発目標(SDGs)に関する報告書によれば、最終的に廃棄される食品の生産に使用されるエネルギーは、それ自体で温室効果ガス排出の要因の一つとなっている。廃棄に関しては、生ごみは有機質であるとはいえ、その大量廃棄はその処理段階において自然環境に多大な負荷を与える。焼却に際しては二酸化炭素を発生させるとともに、食品ゴミは水分が多いことから、焼却炉の発電効率を低下させ、エネルギー資源のムダにつながっている。 世界的な人口増加やアジア各国の経済成長により、世界の食料需要は増大しており、地球温暖化などによる世界の食料需給の不安定化が進展するなか、日本をふくむ各国はとくに食料の安定供給を確保する必要がある。また、食品廃棄物の最終処分スペースについては厳しい状況にあり、今後、循環型社会を構築していくためにも、大量の食品ロスの発生を抑えることが望まれている
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