"セーフハーバー"条項の弱体化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 19:32 UTC 版)
「Stop Online Piracy Act」の記事における「"セーフハーバー"条項の弱体化」の解説
1998年に成立したデジタルミレニアム著作権法(DMCA)のオンライン著作権侵害責任限定法(英語版)には"セーフハーバー"条項と呼ばれる規定が設けられている。このセーフハーバー条項では、あるサイトが著作権を侵害するコンテンツを運営していると感じた著作権者は、当該サイトに対してある一定の期間内に当該侵害内容を除去するよう依頼する必要がある。これに対し、SOPA法案では、サイト自身に著作権侵害行為を検出し取り締まる責任を負わせ、「合衆国の財産を窃取することを目的とした」ウェブサイトへのアクセスをブロックする判断を委ねており、結果としてセーフハーバー条項を回避する法律になりかねない。 民主主義・技術センターや電子フロンティア財団は、法案の言葉の定義はあまりにも曖昧であり、クレームが1件あっただけでサイトがブロックされる可能性があり、さらにその立証責任はサイト側にあると解釈し得るとして法案を批判している。例えば、法案のある条項では、「侵害となる行為を行った米国向けサイトを利用している可能性が高いことを、意図的に確認していない、あるいは確認していなかった」サイトは、どんなサイトもブロックされる可能性がある、となっており、法案反対派はこの文言を「どんなサイトも、他者から侵害行為を通知されるのではなく、自力でサイト内のコンテンツを積極的に監視し、侵害行為を確認しなければならない」という意味に捉えている。 法学教授ジェイソン・マゾーニー(Jason Mazzone)は「侵害を訴えた人が法の適用対象であることを"著しく故意に"不正確に伝えたのでない限り、サイトオーナーは損害賠償を得られないし、それを法的に立証をするのも難しい。サイトのオーナーは反対通知を提出して決済サービス業者や広告業者を再掲載を求めることもできるが、これらサービス業者は反対通知に従う必要はない。」と述べている。 グッドラット議員は反対派の意見に対し、「(議案条項の)文言を狭めるため反対派と協力しても構わない。だがデジタルミレニアム著作権法のノーティス・アンド・テイクダウン(英語: notice-and-takedown、通知と削除)条項を今後も当てにできると考えるのは現実的ではない。インターネットでサービスを展開するものは誰でも何か行動を起こすことが期待されている。だが、我々が(海賊版コンテンツの)提供者でない合法な企業に過度の負担を強いていないことを確認するためなら、文言の微修正は大いに受入れたい」と答えている。 MPAAのオリーリも、公聴会に書面で提出した証言の中でSOPA法案に賛成し現行のDMCA条項を支持した上で次のように述べている。「 それらのサイトが合法で、我々の要求に応える為誠実な努力をしている場合、(現行のDMCAは)有効性の度合いにバラつきがあるにせよ、機能している。」「たしかに、動きが遅い場合もあるし、完全でもないが、機能はしている。」
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