日本における漢字 送りがな

日本における漢字

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/03 05:33 UTC 版)

送りがな

日本語の用言(動詞形容詞形容動詞)には活用があるので、その活用する部分だけを平仮名表記して漢字の後に加える事が行われる。

振り仮名(ふりがな)

日本語は仮名と漢字を多用する言語であり、(場面によっては他にラテン文字アルファベットなども用いられる)仮名は基本的に表音文字、漢字は表意文字(正確には表語文字)である。そこで、漢字の発音が必ずしも分かりやすくない場合などに、漢字の発音を仮名によって併記することがしばしば行われる。これを「読みがな」「振り仮名(ふりがな)」「ルビ」などと呼ぶ。

国字

日本で作られた漢字を国字と言う(国字には他の意味、あるいは日本・中国以外の国で作られた国字も存在するが、ここでは述べない)。国字には峠(とうげ)・畑(はたけ)・辻(つじ)などが挙げられる。主として音読みが無いのが特徴である。ただし働(ドウ)・腺(セン)のように音読みを持つ少数の例外もある。また中国語に取り入れられた国字も少数ながら存在する(「腺」など)。

新字体・漢字制限

江戸時代中期における国学の勃興以来、日本語の文字の改革について議論があり、漢字の廃止や制限などが議論されていた。1923年(大正12年)に選定された常用漢字表を皮切りとして、1940年日本陸軍が「兵器名称用制限漢字表」を決定し、兵器の名に使える漢字を1235字に制限した。1942年には国語審議会が、各省庁および一般社会で使用する漢字の標準を示した合計2528字の「標準漢字表」を答申している[10]

GHQの占領下の1946年(昭和21年)、占領方針として漢字の廃止が政府決定され、廃止までの当面使用する漢字である1850字の当用漢字を定めた当用漢字表が告示された。1949年(昭和24年)に告示された当用漢字字体表によって俗字、略字、筆写体を多く採用した新字体が使われるようになった。ただし、新字体は俗字や略字の採用であり、体系的な字体の簡略化ではないとして、漢字の体系を破壊した、と批判されることがある。例えば、「竜(龍)」と「襲(襲)」と「滝(瀧)」、「仮(假)」と「暇(暇)」、「独(獨)」と「触(觸)」と「濁(濁)」などは、本来は同じ構成要素を持つにもかかわらず、字体の変更により別の構成要素に見えてしまうものである。また、1948年に当用漢字のうち義務教育で教える881字を選んだ当用漢字別表が告示された。これは教育漢字と呼ばれ、1958年、この881字について便宜上統一した筆順文部省から刊行された。1981年内閣告示常用漢字表(1945字)からは漢字表は漢字制限を目指すものではなく目安となった。さらに2010年改定の常用漢字表には2136字が定められている。そのうち教育漢字は1026字となった。

漢字の研究

日本で編纂された最古の漢字字典平安時代初期、空海が編纂したという『篆隷万象名義』であるといわれる。次に昌住によって『新撰字鏡』といった漢和辞典が編まれた。院政期には『類聚名義抄』が作られている。これらは漢字を字形によって分類した字書『玉篇』の影響を受けているという。室町時代には『倭玉篇』(和玉篇)という漢和辞典が編まれ、室町江戸時代を通じて流行し、「倭玉篇」が漢和辞典を指す代名詞であったという。

一方、『爾雅』の影響を受け、漢字を意味別に分類したものには、平安時代中期、源順によって編纂された『和名類聚抄』がある。また、漢字の字音を研究・分類した韻書として、南北朝時代の『聚分韻略』がある。

日本における漢字やその出典となる漢籍の研究は、儒学が盛んだった江戸時代から、さらに近現代にかけて拡大・深化した。戦前・戦後を通して編纂された『大漢和辞典』は、用例がほとんどない漢字を含めて5万字以上を収録する世界最大の漢字辞典である。

2018年(平成30年)3月には「日本漢字学会」(初代会長・阿辻哲次)が設立された[11]


注釈

  1. ^ いわゆる助動詞を含む。

出典

  1. ^ 東京大学文学部講義、「中国音韻学の諸問題」、1948年。
  2. ^ 森浩一『日本神話の考古学』朝日新聞社、1999年。
  3. ^ 宝賀寿男「第一章 戦後の神武天皇」『「神武東征」の原像』青垣出版、2006年。
  4. ^ 平川南 「墨書土器とその字形 : 古代村落における文字の実相」『国立歴史民俗博物館研究報告』35巻 国立歴史民俗博物館、1991年11月、72頁。
  5. ^ 平川、1991年、124頁。
  6. ^ 宮脇淳子 『朝鮮半島をめぐる歴史歪曲の舞台裏 韓流時代劇と朝鮮史の真実』扶桑社扶桑社新書〉、2020年4月30日、46頁。ISBN 978-4594084523 
  7. ^ 『新明解国語辞典』三省堂「真名」より
  8. ^ Gunarto, Hary (2004-02). “Building dictionaries as basic tools for machine translation in natural language processing applications”. 立命館言語文化研究 (立命館大学国際言語文化研究所) 15 (03): 177-185. https://bibdb.ninjal.ac.jp/bunken/ja/article/100000146695 2020年4月4日閲覧。. 
  9. ^ ハリー・グナルトのウェブサイト Gunarto's Kanji Learning Systems
  10. ^ 安岡孝一 (2011年2月24日). “「鉄」と「鐵」”. 三省堂 WORD-WISE WEB. ことばのコラム 人名用漢字の新字旧字 第82回. 2020年4月4日閲覧。
  11. ^ “日本初の漢字学会設立 京都、漢検協会呼び掛けで”. 日本経済新聞. 共同通信. (2018年3月30日). https://www.nikkei.com/article/DGXMZO28781350Q8A330C1AC1000/ 2018年6月2日閲覧。 
  12. ^ 漢字の「正しい筆順」存在しないのに… 教科書に掲載、入試に出題されることも|漢字学習 どこまで必要?|朝日新聞EduA
  13. ^ 押木秀樹 横書き移行に伴う変化について
  14. ^ 白川(文字逍遥) PP..353-354





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